「ユーザー企業は基幹業務システムを止めることはできない。メインフレームを使っている企業は,業績が苦しかろうが,高額の保守費用を払い続けている。このようなユーザー企業の保守費用を大きく削減できるようにしたい」(細井洋一取締役製品事業統括本部長)。

 サン・マイクロシステムズ日本法人は5月9日,IBMのメインフレーム上で稼働しているアプリケーションをサンのSolaris上に移行させるソフトウエア「Sun ONE MTP(Mainframe Transaction Processing)」および「Sun ONE MBM(Mainframe Batch Manager)」を発表した。「Sun ONE MTP」はIBM CICS上でオンライン・トランザクション処理を実行するアプリケーションを,「Sun ONE MBM」はバッチ処理のアプリケーションを,そのままソースコードに変換を加えてSolaris上で稼働させるためのソフト。サンはこのリプレースの取り組みを“リホスト(rehost)”と称している。

 「メインフレームからオープンへの移行のために,ERPなどを使って全面的に造り直す“リビルド(rebuild)”と,Javaなどを使ってアプリケーションをそのまま書き直す“リライト(rewrite)”,それに“リホスト”の3つの選択肢を提供する。リホストは恒久的な解決ではなくせいぜい2年程度だけ既存のアプリケーションを使い続け,その間にリビルドの準備を進めるという利用形態を想定している」(細井取締役)。サン日本法人の菅原敏明社長は,「リホスト型のリプレース需要は日本でも700~800件はある。適用可能性を調査してみないとわからないが,当面は年間20件程度は実現すると見ている」と語った。

 今回のサンのリホスト用ツールは,米サンが昨年9月に米クリティカル・パス社から買収した製品を日本語化したもの。富士通,日立製作所,NECのメインフレームには対応していない。国産メインフレーム用の変換ツールについても市場と実現可能性について調査しているというが,実現の可能性は低そうだ。

 またIBMメインフレーム用でも,IMS DB/DC環境用のアプリケーションなどはリホスト移行の対象外になる。データをメインフレーム用からSolaris用にコード変換するツールもサンが提供する予定だが,外字の変換などはインテグレータによる手作業が必要になる見込み。さらに移行できないアプリケーションがメインフレーム側に残った場合,Solaris側にリホストしたアプリケーションとの間でデータを共有するのは難しそうだ。

 サンによれば,イギリスの小売最大手であるLittlewoodsは,IBMのメインフレーム1台をサンの「Enterprise 10000」4台に変えて,年間100万ドルのコスト削減に成功したという。また,アメリカ連邦政府のある部門では,メインフレームからのリプレースで年間のランニング・コストを3分の1に削減できたとしている。

 サン日本法人はリホスト用ツールの発売に合わせて,メインフレームからのリプレースを推進する製品技術センター(80人)の中に,リホスト支援専門の技術者約10人からなる「MFR技術センター」を4月1日付けで設置した。リホスト用ツールの出荷時期は6月中旬。価格は「Sun ONE MTP」が500万円(ユーザー数100人以下)~数億円の範囲。「Sun ONE MBM」は2500万円からで,最上位機Sun Fire 15K用では5000万円強になる。

(松浦 龍夫,千田 淳=日経コンピュータ)