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 ECサイト構築パッケージ大手のエコス(http://www.ecoss.co.jp/)は,EJB(Enterprise JavaBeans)コンポーネントの開発・実行基盤を提供するフレームワーク製品「ECOSS WAVE3 Framework」の販売を,ソースコードと再販権を付けて再開した。Javaフレームワークをソースコード・再販権付きで一般に販売するのはエコスが初めて。

 エコスは昨年11月にWAVE3を出荷したものの,サポート体制の不備を理由に販売を中止していた。その後WAVE3の扱いについて検討を続けた結果,サポートをいっさいしない代わりにソースコードと再販権を付けて販売することにした。

 これは,製品に関する権利をほぼ丸ごと譲渡するようなもの。にも関わらず,価格は「ソースコード・再販権付き,開発者ライセンス無制限」でたったの500万円。事実上の“たたき売り”だ。再販するときはエコスに別途ライセンス料を支払わなければいけないが,ソースコード付きで1システムにつきたったの30万円と極めて低額だ。
 こうした“たたき売り”戦略に打って出た背景には,エコス社内の経営陣の対立があった。

 もともとWAVE3は,エコスがECサイト構築パッケージ「ECOSS Solution Enterprise2(ESE2)」の次期バージョンを作る土台として開発したものだった。ところがWAVE3の出来が良かったため,WAVE3自体を製品としてのフレームワークに仕上げ,外販することにした。この戦略を推進したのが,この6月末をもってエコスを退任した中村彰二朗 元副社長兼COO(最高執行責任者)だった。

 この戦略に従い,エコスは昨年11月28日にWAVE3を正式に発表。同時に,富士通やNTTソフトなど数社が,すでにWAVE3 Frameworkによるシステム開発を始めていることも明らかにした。

 しかしこれは,ツールの販売に不可欠なサポート体制が整っていないままの見切り発車だった。露木千尋 社長兼CEO(最高経営責任者)は「うちはツール屋ではなく,あくまでアプリケーション・ベンダー。もともと私はWAVE3の外販に反対だった。止められなかった私にも責任はあるが,中村君の暴走だった」と語る。

 「収益を上げられるなら売っても良いが,教育体制やサポート体制がまったくないまま販売に踏み切った。これでは事業として成り立たない」と判断した露木社長は,今年3月にWAVE3の販売を一時中止する決断を下した。中村元副社長は6月末をもってエコスを退任している。

 だが,すでにWAVE3は製品として完成しており,品質や機能面を見ても「現時点ではJ2EE完全準拠のフレームワークとして世界でも一級」(露木社長)という自信があった。そこでサポートを一切しない代わりに,ほぼ丸ごと製品を渡すという荒技に出たというわけだ。

 エコスのお家事情がきっかけだったとはいえ,結果としてJava開発に長けたベンダーやユーザー企業には朗報と言える。ソースコードを基にして,WAVE3をベースにした自社専用の開発環境を安価かつ容易に用意できるからだ。今後,WAVE3は意外な売れ行きを見せるかもしれない。

井上 理=日経コンピュータ