電子情報技術産業協会(JEITA)が7月30日に公表した調査結果によると,2002年4~6月期の国内パソコン出荷台数は前年同期比13%減の242万9000台,出荷金額は同9%減の4298億円にとどまった。出荷台数は4四半期連続で前年同期の実績を下回り,パソコン市場は非常に厳しい状況にある。だが,JEITAは期初に立てた2002年度通期の出荷見込みを修正していない。業界関係者の間では「JEITAの予測は楽観的すぎる。メーカーの自主統計という事情もわかるが,もっと市況を厳しく見るべきではないか」との見方が広がっている。

 JEITAは「ビジネス市場では電子政府関連の需要が伸びるし,中小企業の情報化投資意欲も今後掘り起こされる。個人市場では,高齢者や小・中学生向けの需要が広がる。ブロードバンド通信の利用拡大に伴う買い換えもあるし,タブレット型パソコンといった新コンセプトのモデルも登場してくる」と今後の回復に期待する。しかし,中小企業の多くは資金繰りに苦労しており,投資意欲の掘り起こしは容易ではない。ブロードバンド通信についても,キラー・アプリケーションを見出せていないのが現状だ。タブレット型パソコンも,市場に受け入れられる保証はない。

 国内市場の2強であるNECと富士通は,現時点では通期見通しを変更していない。だが,NECの関係者は「市場は非常に厳しい状況にあるのは事実。ただし現時点では,見通しを変更するべきかどうか,まだ見切れていない」と漏らす。市場の変化が,あまりにめまぐるしいからだ。NECの場合,4月と5月は比較的好調で「良いスタートを切った」と思っていたら,6月はサッカー・ワールドカップの影響で一気に落ち込んだ。「7月は若干盛り返したが,それでも急回復というほどではない」。

 「予測の難しさは生鮮食品並み」。かつて,富士通の担当者はパソコン市場の予測の難しさをこう表現した。2002年度の市場の先行きは,これまで以上に読みにくくなっているようだ。

森 永輔=日経コンピュータ