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韓国アンラボの安哲秀社長 11月から日本市場への本格参入を発表した韓国ウイルス対策ソフト最大手、アンラボの安哲秀(アン・チョルス)社長兼CEOに話を聞いた。ソウル大学医学部出身で医学博士の顔も持つ安CEOは、韓国の大手新聞社、朝鮮日報による「最も尊敬する経営者」に選ばれたこともある。

 アンラボのウイルス対策ソフトは韓国でのシェアが約70%。「不正コピーも含めると、10人中9人が同社製品を利用している」とも言われる。韓国で圧倒的強さを誇るアンラボは、トレンドマイクロ、シマンテック、日本ネットワークアソシエイツによる大手3社寡占状態が続く日本市場に、どう風穴を空けるのか。


 日本市場への本格参入を前に準備を入念にしてきた。日本のセキュリティ市場は大手3社による寡占状態で、新規参入が難しいことは良くわかっている。しかし、ウイルス対策ソフトだけをとってみても、日本市場はとても大きく、さらに(ウイルス対策ソフトは)パソコンになくてはならない存在になりつつある。我々はそこにチャンスを見出した。いつまでとは言わないが、まずはアンチ・ウイルスで(日本市場における)10%のシェアを獲得できるよう努力する。

 アンチ・ウイルスのベンダーが1社増えたというふうには考えて欲しくない。当社はセキュリティに関する多様な技術と製品を持っており、ネットワーク上の脅威に対して総合的な対策を提供できる。

 例えばウイルスやハッキングを発見したり対処する製品群に加えて、ハッキングそのものを無効にする新製品「セキュア・ゲート」を開発しており、年内に日本市場へ投入する。これは、簡単に言えばハードディスクのデータを暗号化するソフト。すべてのデータではなく、漏らしたくない内容だけを暗号化する。さらに強固なハードディスクのアクセス・コントロール機能を備える。フォーマットしない限り、読み取りをできなくするので、ハードディスクの盗難にも対応できる。

 既知のウイルスだけでなく、新種ウイルスの感染を防ぐ新サービス「VBS(Virus Blocking Service)」も年内に日本で提供を始める。メールのタイトルや添付ファイルの名前・サイズなど、最新ウイルスの情報を各ユーザーに配布。メール・サーバー上で動くゲートウエイ・ソフトが、最新情報をもとに、ウイルスの疑いのあるメールを一時的に隔離して送受信を制限する。ウイルス定義ファイルを作成し送信するのは数時間かかるが、最新情報なら発見から10分で送れる。これならウイルス定義ファイルが届くまでの脅威にも対応できる。

 偶然にもトレンドマイクロや日本ネットワーク・アソシエイツもVBSと同様の構想を発表しており、同時期に製品/サービスの提供が始まるだろう。しかし他社は自分たちの既存製品を守るための製品で自社のウイルス対策ソフトにしか対応しない。我々のVBSは、オープン・アーキテクチャで、他社のウイルス対策ソフトにも対応できるようにする。

 こうした総合的な品ぞろえに加えて、低価格戦略も打ち出していきたい。残念ながら戦略上いまは、各製品/サービスの具体的な価格帯や、他社より何%下げるといった話はできない。だが、すべての製品/サービスに価格競争力を持たせるつもりだ。「安かろう悪かろう」と思われないように、「同価格でも機能は2倍」といったアピールのやり方も考えている。

聞き手は井上 理=日経コンピュータ