「企業を変革(トランスフォーメーション)するカギは、ブレンドとインテンシティだ。ブレンドとは、その企業が持っている中核の資産(コア・アセット)と、変革のために必要な要素を混ぜ合わせること。そして、インテンシティ(intensity:激しさ、強烈さ、真剣さ)をトップと社員が持ち、変革を断行する必要がある」。

 ERPパッケージ(統合業務パッケージ)で世界第2位、米ピープルソフトのクレイグ・コンウェイ社長兼CEOはこう語る。コンウェイCEOは1999年5月、赤字を計上し、買収がささやかれていたピープルソフトの社長になり、短期間で同社を立て直した。

 「ピープルソフトのコア資産は、イノベーションを生み出す技術力、満足度の高い顧客、優秀な社員。ここに、私が必要不可欠だと判断した、インテンシティ、アカウンタビリティ(責任感)、コンペティティブ(競争心)をブレンドした」。

 「というのは、ピープルソフトに来たときに、ビジネス集団として常識に欠ける面を感じたからだ。自由闊達なカルチャー、顧客にとことん貢献するカルチャーがあった。これは良いことだが、いささか度を超していた。このままでは競合他社に勝てないと思った」。

 「そこで全社員に対して、強烈さと責任感と競争心をもっと持て、と檄を飛ばした。ビジネスをやるうえで、責任感や競争心を持つのは当然のこと。現状を絶えずチェックし、改めるべき点が見つかったら、真剣に改善していく。チェックと改善を繰り返すことで、競争力がついてくる。変化を求める社員、やる気のある社員は、私がうるさく言うことを信じ、実践した。その結果、今日がある」。

 コンウェイ氏は「インテンシティ」という言葉を繰り返す。「企業を改革する際、経営トップは一切妥協してはならない。手を抜かずに激しくやれるかどうか、それに尽きる」。それまでの家族的な社風になれていた社員の中には、コンウェイ氏の激烈なやり方についていけないものも出た。当時の社員の約3割が同社を去ったという。

(谷島 宣之=コンピュータ第一局編集委員)