「中堅・中小企業では、現場のユーザーがシステムの使い勝手が悪いと思っても、システム部門が変更できない。結局、現場のユーザーはシステムの改善を諦めてしまっている」。こう語るのは、システム・インテグレータである日本情報通信(http://www.niandc.co.jp/) ニュービジネス推進室の小泉隆擧(たかきよ)担当部長。日本情報通信が、中堅・中小企業を専門にしたITコンサルティング事業を始めて半年になる。小泉担当部長は、この間の取り組みで得た中堅、中小企業の情報システムの実情を語った。

 小泉担当部長は、「経理部が請求書の印刷形式を実務に合わせたものに変えたい、というような些細なシステム変更すらできない企業もあった」と語る。また他にも、「取り扱う商品が増えてシステム上の商品コードの桁数が足りなくなったが、桁数が変更できなかった。仕方なく商品コードを使いまわし、新しい商品を古い商品コードでシステムに投入していた」企業の例をあげる。この企業では、「在庫や営業などの実績を見ようとすると、古い商品と新しい商品が混じって出てしまう。経営資料が必要になった場合には、人手で作り直していた」という。

 このような問題を解決するためには「現場のユーザーの意識改革と、システム部門の企画力向上が重要」(小泉担当部長)である。小泉担当部長は、「基本的なことだが、“業務遂行のためにシステムがある”という意識を、現場のユーザーを含めた企業全体に徹底する必要がある」と語る。日本情報通信のITコンサルティングでは、現場のユーザーにシステムの問題点や改善点を考える習慣と、業務面からシステムを考える意識を持ってもらうことに力を入れている。

 そして、業務や環境の変化に追随できるシステム構築・運用のためには、システム部門に組織としてのシステム企画力が欠かせない。小泉担当部長は、「システム部門には、現場のユーザーの意見を反映した要件定義や、変更が容易なシステム設計、ドキュメント作りといった、将来を見据えた組織的な取り組みが重要だ」と語る。「現状では中堅・中小企業のシステム担当者は、基本的なパソコンの設定やトラブル対応など日々の雑務に翻弄され過ぎて、システムの企画・立案に能力を発揮できていない。経営者は、アウトソーシングやシステム部門の組織力の強化を検討すべきである」。

(鈴木 孝知=日経コンピュータ)