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 「米国の政府機関がいまWebサービスに着目し、XMLやSOAPといった技術を使い始めている。そのキッカケは、昨年9月11日の同時多発テロ事件だ」。こう語るのは、米国在住でIT関連のコンサルティングを手がけている野口芳延氏(米InterBusiness CorporationのPresident&CEO)だ。

 「政府というのは、もともと新技術の採用に対しては慎重で、最も利用が遅い部類に入る」(野口氏)。例えば新技術の普及度を、横軸に時間をとって表すと、一般に釣り鐘型の曲線を描くとされる。初期に少数の先行ユーザーが現れ、「Chasm(カズム)」と呼ばれる溝(いわば普及の壁)を越えると、後続の集団が一斉に新技術を採り入れるようになる。そのピークを過ぎ、残りの集団にも普及が進んだあと、ようやく最後に至って新技術を採用する少数のユーザーが出る。通常政府機関は、この最後のユーザーに属すというわけだ。

 その政府機関が、Webサービスという最新技術を積極的に採り入れているのはなぜか。それは「あの9.11で手痛い失敗をしたからだ」と野口氏は指摘する。「テロの実行犯は、事件を起こす前に米国にたくさん痕跡を残していた。飛行機のライセンスをとりに学校へ行く、ホテルに泊まる、クレジットカードを使うなどだ。ところが国防総省もCIAもFBIも、システムがバラバラだったので、こうした情報を有効利用できなかった」(野口氏)。

 そこで米政府は失敗を反省し、これらの情報を結合する手段としてWebサービスに目をつけた。Webサービスの場合、他のツールや手段と比べ、システム間の連携が容易だ。データをXMLの形式にして、SOAPと呼ばれるプロトコルでやり取りすればよい。「新技術に対して最も腰の重い政府が取り組んでいるのだから、今後Webサービスが普及するのは確実だ」と野口氏は予想する。

横田 英史=日経コンピュータ