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 「プロジェクト・マネジャに不可欠な要素は三つある。トレーニングを欠かさないこと、責任感を持つこと、そしてコミュニケーション能力を持つことである。最も重要なのはコミュニケーションの力だ。優れたプロジェクト・マネジャになりたいと思う人は、まず第一にコミュニケーション能力を磨くべきである」。

 世界最大のプロジェクトマネジメント推進団体、PMI(プロジェクトマネジメント・インスティチュート)のレベッカ・ウィンストン会長は、こう指摘する。

 なぜコミュニケーション能力が重要なのか。「実際のプロジェクトでは、プロジェクト・チームのメンバー、他部門からの参加者、顧客、プロジェクトを請け負うベンダーなど、さまざまな立場の人が参加する。プロジェクト・マネジャは、すべての参加者とコミュニケーションを密にすることを心がけなければならない」(ウィンストン会長)。

 特にシステム開発プロジェクトの場合、顧客は自分の要求がどこまでシステムに反映されているのかが、なかなか分からないものだ。そのため「プロジェクト・マネジャは常に、作業内容を顧客に確認してもらうべき。ここでも、コミュニケーション能力が不可欠となる」とウィンストン会長は説明する。

 コミュニケーションの重要性を象徴するように、PMIが定期的に開催するイベントには、世界各国からプロジェクト・マネジャが集まる。先ごろ米国テキサス州で開かれた「PMI2002」には、欧米、アジア、アフリカなどから4000人近くの参加者が集まり、会場各所で熱い討議を交わしていた。

 プロジェクト・マネジャがこうしたプロジェクトマネジメントのコミュニティやイベントに参加すれば、“旬”の情報を仕入れることができる。会場の雰囲気を感じるだけでも、モチベーションの向上につながるだろう。

 日本でも今月、プロジェクトマネジメントのイベントが相次いで開催される。PMI東京(日本)支部(http://www.actec.or.jp/pageholder/pmi/tokyo_j.htm)は11月19日に、「PMI東京フォーラム2002」を開催する。テーマは、「職業としてのプロジェクトマネジメント」である。PMIのマーガレット・コンベ女史が、プロジェクトマネジメントの米国最新事情を講演し、日本のプロジェクト・マネジャらとパネル・ディスカッションをする。

 PMI東京支部は、PMI2002でも話題になっていた、プロジェクトマネジメントの最新テーマを日本へ持ち込もうと活動している。一つは、プロジェクトマネジメントにかかわる組織の能力を測る基準「組織的プロジェクトマネジメント成熟度モデル(OPM3)」。もう一つは、プロジェクト・マネジャ個人の能力や適格性の自己評価基準「プロジェクト・マネジャ・コンピテンシ(適格性)・ディベロップメント(PMCD)フレームワーク」である。

 PMIのウィンストン会長は、「プロジェクトマネジメントの知識体系であるPMBOKを始めとする、PMIが整備している標準体系や基準を、日本でも積極的に活用してほしい」と語っている。

 一方、11月29日には、プロジェクトマネジメント学会(http://spm.pm.it-chiba.ac.jp/)が「プロジェクトマネジメント学会3周年記念シンポジウム」を開催する。本シンポジウムでは、「経営からみたプロジェクトマネジメント」をテーマに、東京三菱銀行の岸曉相談役(前会長)が講演する。岸氏は、三菱銀行の第3次オンライン・システムの構築を指揮したことで知られている。

 岸氏に続いて、米IBMのプロジェクトマネジメント関連の責任者であるキャロル・ライト氏が、「Establishing a Project based Culture」と題して講演する。IBMは、顧客向けのシステム・インテグレーション・サービスに加え、製品開発や社内のビジネス・プロジェクトにおいても、プロジェクトマネジメントを適用している。

鈴木 孝知=日経コンピュータ