電子顕微鏡や眼科医向け検査機器、測量機器などの製造を手がけるトプコン(http://www.topcon.co.jp/)は現在、トプコン本体と販売・サービス関連会社を合わせた12社の会計システムの刷新を進めている。各グループ会社は個別に導入していたシステムを、トプコン本体が新たに用意した共通の会計システムに順次切り替える。来年4月には、すべてのグループ会社11社への展開を終える見込み。

 すでに今年4月にはトプコン本体とグループ会社1社のシステムを刷新。続いて今年10月に、グループ会社4社の切り替えを完了させた。「10月に実施したグループ会社への切り替えも滞ることなく終わり、11月の月次会計処理も無事終えることができた」と、トプコン経営変革室 情報システム部の藤澤良信 部長は語る。

 トプコンが会計システムを刷新する狙いは、「グループ全体の決算処理を効率化して経営判断のスピードを向上させる」(藤澤部長)ことにある。新システム導入で、これまで1カ月半かかっていた連結決算の処理を1カ月に短縮させることを目指す。新システムをすでに利用しているグループ会社では、これまで9日かかっていた月次決算処理を7日に短縮している。

 グループ全体で利用する新しい会計システムは、トプコン本体で稼働させる。グループ会社にはアプリケーション機能をネットワーク経由で提供する、社内ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)方式を採用している。「グループ会社の中には、情報システム担当者がいないところや、いても1~2人のところがある。要員を確保できるトプコン本体が、システムの保守や運用を担当し、システム機能をグループ会社に提供する方式を採用した」(藤澤部長)。

 新しい会計システムは、会計用パッケージ・ソフトと、既存システムを組み合わせて構築した。支払い管理や手形管理、一般会計、固定資産管理といった機能はパッケージ・ソフトのものを利用し、売掛金や買掛金の管理機能は既存システムのものでまかなった。今回採用したエス・エス・ジェイのERPパッケージ(統合業務パッケージ)「SuperStream」では、事業部別に売掛金を管理する機能が十分でなかったり、買掛金管理についても、トプコンが採用している支払い方法による管理が難しいことが分かったからだ。

 「情報システム部門は当初、経理業務をパッケージに合わせ、追加開発をできるだけしないことを想定して利用部門にシステムを提案した。しかし、決算処理の期間を短縮させるには、システムの使い勝手が重要だという経理部門の要望を尊重して、必要に応じて追加開発をしていくことにした」(藤澤部長)。売掛金や買掛金の管理を担当する既存システムのアプリケーションは、今回の新システム導入を機に修整した。ハードも東芝製オフコンからWindows NT搭載サーバーに切り替えた。

 本社に設置するシステムには、米シトリックス・システムズのミドルウエア「MetaFrame」を搭載するサーバーを用意した。このサーバーは、本社の経理部門やグループ会社の事務所にあるパソコンとやり取りするデータを必要最小限にするもの。SuperStreamの帳票データなどを管理しており、クライアント・ソフトに送信するデータ量を抑える。「MetaFrameを利用することで、利用しない場合の7~10倍速く送信できる」と、トプコン情報システム部システム企画グループの飯田芳明 専任課長は説明する。

 MetaFrameを採用することで、これまで利用していたネットワークに変更を加えずに済んだ。従来利用していたフレーム・リレー網は、本社側が1.5Mビット/秒、本社営業所とグループ会社側が、64k~512kビット/秒の通信速度だった。「ネットワークの通信速度はそのままで新システムを利用できるので、通信コストを据え置くことができた」(藤澤部長)。

 システム開発プロジェクトは、2000年1月から開始した。新システムと旧システムのギャップ分析などを経て、2001年8月ころから2001年12月まで開発作業期間にあてた。この新システムの開発費用は総額2億5000万円。

西村 崇=日経コンピュータ