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W3Cテクニカル・アーキテクチャ・グループのティム・ブレイ氏 XMLの共同創案者で、W3Cテクニカル・アーキテクチャ・グループのティム・ブレイ氏が来日。日経コンピュータの取材に対し、「XMLの世界は、Webサービスなど進歩が速い分野もあるが、一方でXMLをベースとしたビジネス言語の統一や、セマンティックWebなどの分野は遅々として進んでいない」と語った。

 このうちXMLベースのビジネス言語に関しては「マイクロソフトとサン・マイクロシステムズが自陣に各種業界を取り込もうとしてXMLの世界を引っ掻き回してきた。この主導権争いにIBMとオラクルが加わり、状況はもっと深刻になってきている」とした。

 XMLベースのビジネス言語とは、「靴のサイズ」「靴の材質」といった業界固有のタグを定義するもの。同じXML言語をベースにしているとは言え、定義が異なるため事実上互換性がない。基本的には各種業界団体の主導で標準化作業が進められているが、ブレイ氏は「先の4社が各種業界と複雑に絡み合い、激しい主導権争いを繰り広げている」と指摘した。

 「ビジネス言語の標準化についてもW3Cが主導をとる気はないのか」という記者の問いに対しては「W3Cは60~70人ほどのスタッフしかいないにもかかわらず、セマンティックWeb、Webサービス、暗号など、こなさなければいけない仕事が山ほどある。長い目で見れば、いつの日か協調に向かう日が来ると信じている」とした。

 次世代のWeb技術としてW3Cが力を入れているセマンティックWebの進捗に関しては、「技術的な問題と政治的な問題が複雑に絡み合い、実現は非常に難しい状況だ。実現は無理だと言う人も出てきた」と悲観的な見方を示した。セマンティックWebとは、XML言語を用いてWebコンテンツにコンピュータが認識できるセマンティック(意味)情報を持たせ、Webを人間の視覚に訴えるものだけでなく、コンピュータ同士が対話できるものにしようという考え方である。

井上 理=日経コンピュータ