中国・江蘇省の常州市幹部が来日し、中国進出を検討している日系企業を対象とするセミナーを2月26日に開催した。

 常州は上海の約160キロ西方にある衛星都市。富士通や沖電気工業の現地合弁企業、中国の国産DVDメーカーである新科(Shinco)などが工場を持っている。

 江蘇省の主要都市の一つとはいえ、蘇州や南京、無錫など同省のほかの都市に比べ、日本では知名度の低い都市だ。しかし、こうしたハンデをおして単独で来日し、日系企業の誘致に乗り出すなど意欲的な姿勢をみせる。

 誘致活動を担当する常州国家高新技術産業開発区管委会の董謙副主任は「これまで注力していた電機だけでなく、ソフトウエア開発や精密機械、化学など、対象産業を一挙に拡大したい」と意気込む。

 同市では「ソフトウエア・パーク」と「電子産業パーク」という2種類の工業団地を造成し、中国企業や外資系企業の誘致を進めている。現時点でそれぞれ70社、15社の企業がすでに進出済み。今後1~2年をめどにさらに用地を拡張する意向だ。

 外資を呼び込むために、工業団地の近くの長江河岸に数万トン規模のコンテナふ頭を用意したり、地元に税関を設置し24時間通関可能な体制を整えている。外国人の常駐にも対応できるよう、一戸建て住宅やゴルフ場、遊園地などの施設も用意したという。

 中国ではここ数年、高い技術力を持つ外資系企業を誘致するため、各地でこうした工業団地の造成が進んでいる。こうした流れは上海や深センなどの中核都市にとどまらず、周辺に位置する中規模の衛星都市にも及んでおり、各都市の誘致合戦も加熱する一方だ。

 “高新技術産業開発区”と呼ばれるハイテク産業対象の工業地域は、大小さまざまな規模のものが、すでに中国国内に多数あり、最高レベルの“国家級”だけでも53カ所に上る。董副主任は常州の優位性について、「常州は交通の便が良く、長江沿岸であるため数万トン級の港もある。また企業誘致を特定産業に限定しておらず、多様な産業の進出を促すことで相乗効果を期待できる。“国家級”53地区の競争力ランキングで、常州は15位に付けている」とアピールした。このほか、地価の安さなどを武器に、上海周辺のほかの都市に対抗していく構えだ。

金子 寛人=日経コンピュータ