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 「プロジェクト・マネジャに必要なのはITやプロジェクトマネジメントに関する知識やスキルだけではない。やる気や気配り、業務の意義付け、経験といった人間的な力も必要だ」。こう語るのは日本IBMの冨永章専務である。プロジェクトマネジメント学会は3月11日と12日に千葉県習志野市の千葉工業大学で春季研究発表大会を開催。先の発言は11日に行われた「プロジェクト・マネジャの要件」と題したパネル・ディスカッションでのものだ。

 冨永氏は、「知識とスキルがないにも関わらず、やる気や経験だけがあってもうまくはいかない」とも強調した。日立ソフトサービスの大野晋(すすむ)業務部第1グループ技師ULも、「両方のバランスを取らなければならない。日本の企業はその時々の流行に応じて、知識重視あるいは、やる気や経験重視のどちらかに偏ってしまう傾向がある」と語る。

 知識だけではないという意見は、NTTデータの村松充雄公共システム事業本部第六公共システム事業部長も同様だ。「プロジェクトの舵を取る基本的な“手配り”に加え、メンバーのやる気やスキルを引き出す“気配り”、様々なリスクやマネジメント項目に“目配り”を利かせて、必要に応じてステークホルダー(利害関係者)と交渉する能力が必要だ」と語る。大野氏は、「特に大規模・長期のプロジェクトになるほど、メンバーのやる気の維持・向上などへの気配りや対策の重要度が増す」と付け加える。

 冨永氏は最後に「とは言っても、日本のIT産業の現状を見ると、開発手法やプロジェクトマネジメントに関する知識の教育があまりに軽視されすぎてきたのではないか」と注意を促した。

 研究発表大会では、このパネル・ディスカッション以外に、短納期になることが多いWebシステムにおけるプロジェクトマネジメントの注意点や、最近注目の手法「EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)」の実例とノウハウなどが相次いで発表された。明日も多数の研究成果が発表される。

(鈴木 孝知=日経コンピュータ)