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 経済産業省が8月にも“日本版サイバーセキュリティ戦略”を発表することが明らかになった。サイバーテロなど情報通信に関わる不慮の事態を想定し、官民を含めた国家的な統合戦略をまとめる。米連邦政府が今年2月に発表した「サイバーセキュリティ戦略(National Strategy to Secure Cyberspace)」を踏まえた日本版である。

 経産省は4月中に、経産相の諮問機関である産業構造審議会に情報セキュリティ部会を新設し、今年8月までに同部会で日本版サイバーセキュリティ戦略をまとめる計画。すでにラックの三輪信雄常務取締役などへ、部会への参加を求める呼びかけを始めている。

 計画では、電力や金融といった経済活動への影響が大きい重要インフラを、ネットワーク上の脅威から守るための戦略を策定する。政府内での経産省の役割を考慮して、経済面での安全保障を前面に押し出す。

 具体的には、「重要インフラに関する危機管理システムの構築手段」と「緊急事態を前提とした予防策、および対応策」を打ち出す。内閣官房にあるサイバーテロ対策の緊急対応支援チーム「NIRT」や、経産省が進めているセキュリティ監査制度など、既存の施策とのすり合わせも行う。

 米サイバーセキュリティ戦略は、米ブッシュ政権が2003年2月14日に発表したもの。情報通信の安全保障の確立を国家の最優先項目とし、政府や重要インフラのセキュリティを確保するための統一的な指針を示している。セキュリティに関する研究開発の推進や、セキュリティを専攻する学生への奨学金制度の整備など、約90の具体的な勧告もある。

 この戦略の監督権限は、2001年9月の米同時多発テロを機に新設された国土安全保障省に委ねられている。緊急時の統合的な窓口機能も果たす同省は、情報セキュリティに関する研究に毎年5億ドル以上を投じる。

(井上 理=日経コンピュータ)

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