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 富士通は4月25日、新人事体制を発表した。秋草 直之社長(写真左)は退任し、後任社長に黒川 博昭経営執行役常務(写真右)が昇格する。秋草社長は代表取締役会長に退く。6月末に正式に就任する予定である。

 黒川常務はソフト・サービス事業部門の出身。富士通で唯一の稼ぎ頭と言えるソフト・サービス事業の幹部を社長に据えることで、秋草社長が打ち出した路線の継続と業績の回復を狙う。

 秋草社長は黒川常務を次期社長に指名した理由を、次のように説明する。「富士通がこれまで大事にしてきたお客様第一主義が体に染みついていること。それに、まっすぐな性格で、私に対してもずけずけ(意見を)言う。富士通らしさを維持するための最適な人選だ」(秋草社長)。

 黒川常務は会見の場で、「まだ内示を受けただけなので具体的なところは言えないが」と前置きをしたうえで、「これまで富士通が掲げてきた顧客指向とスピードという二つのポリシーを徹底的に推し進めていく」と第一声を放った。「社長としての正式な経営方針の表明は6月以降に言うつもりだ」(黒川常務)。

 今回の黒川常務昇格に合わせて、役員も一新する。取締役CTOに藤崎 道雄富士通研究所社長(兼務)、取締役専務CS(カスタマ・サティスファクション)担当に斑目 廣哉経営執行役常務、取締役専務マーケティング担当に鈴木 国明経営執行役常務、取締役専務ものづくり担当に前山 淳次経営執行役常務、取締役専務CFOに小倉 正道経営執行役常務が就く予定。

 関澤 義会長は退任し、相談役に退く。杉田 忠靖副社長と高谷 卓副社長も退任し顧問に、小島 和人専務と広瀬 勇二専務は常任顧問になる。以上の役員人事の一新について秋草社長は、「黒川新社長が舵取りしやすい体制を作った」としている。

 秋草社長は「今までのリストラで様々な問題を処理し、ベースは固まった。その一方で(業務の範囲が広い富士通の社長は)あまりにも多忙ということもあり、かなり前から(役割を分担できる)次の後継者を選ぶ気持ちがあった。(突然社長退任を発表することは)唐突と思われるかもしれないが、自分としては予定通りと考えている」と述べた。

 また秋草社長は、自分の役割を狭めながらも、引き続き経営に関与していく姿勢を見せた。「(現在の富士通の問題を)解決するのは私の責任だと思っている。CEOやCOOという言葉の定義は日本ではあまりはっきりとしていないが、(イメージとしては)CEOが私で、COOが黒川新社長」(秋草社長)。黒川新社長が主に富士通本体の経営を担当し、秋草新会長がグループ全体を見る方向という。

 黒川常務は社内で、「控えめで謙虚。富士通の幹部のなかでも特に部下からの人望は厚い」とも言われている。厳しい状況に立たされている今の富士通に求められているのは、強力なリーダーシップ。控えめな黒川新社長の腕が試されるのは、これからだ。

(高下 義弘=日経コンピュータ)