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ラリー・シンガー バイスプレジデント 「私の役割は『はだかの王様』の少年の役を務めることだ。王様がはだかで歩いているとき、『何だ、あの王様は服を着ていないじゃないか』と叫ぶ少年が出てくるだろう。当社でも長年『こうではないか』と思い込んでいる点が少なくない。その思い込みを顧客の視点で変えていきたい」。米サン・マイクロシステムズのグローバル・インフォメーション・システムズ部門ストラテジー・オフィスでバイスプレジデントを務めるラリー・シンガー氏(写真)はこう意欲を見せる。

 シンガー氏が「顧客の視点でサンを変える」という役割を担っているのは、それが最も彼に適しているからだ。シンガー氏の前職は米ジョージア州CIO(最高情報責任者)。今春から現職を務めている。ジョージア州CIO時代に、ポータル・システム用ミドルウエアとしてサンの「Sun ONE」を選ぶなど、サンとのかかわりは深かった。

 「CIOを務めた経験は、いまのサンでの仕事にとても役立っている」とシンガー氏は話す。「サンの経営層は、他のマネジャの話を聞いてくれない場合があっても、私の話はちゃんと聴いてくれる。何しろつい最近まで、サンはもちろん、IBMやHP(ヒューレット・パッカード)、マイクロソフトなどと顧客として直接顔を付き合わせるポジションにいたので、顧客がいったいどのようなプロセスで意思決定を下すのかを明確に説明できるからだ。これから1年か1年半をかけて、『顧客にとってのサン』を表現していきたい。これは非常に価値のあることだと考えている」。

 サンのいまの最大の競合相手はIBMではないかと尋ねると、「確かにそのとおりだ。米国ではいまサンとIBMが競っている」と同意しながら、以下のように続けた。

 「IBMとサンで、共通点は多い。ともにJavaやWebサービスに対して積極的に取り組んでいるし、進化するネットワーク・ベースのコンピューティングに挑んでいる点も同じだ。顧客が抱える最大の課題が『コストと複雑さ(complexity)』であるという認識も共通している。さらに、ITで顧客の抱える問題をできるだけ早期に解決すべきと考えている点も同じだ」。

 「だが、IBMとサンでは問題解決のアプローチが大きく違う。IBMは、『技術はもはや大して重要ではない』というスタンスをとっている。顧客には『そんな小さな技術の問題など気にするな。とにかく、あなたたちの抱えている問題を教えろ』と言う。そして優秀なスタッフを使い、いかなる顧客に対しても、カスタマイズされたソリューションを包括的に提供する。確かにそれで問題は解決されるかもしれないが、顧客はそれ以降、彼らのサービスに縛られ、それに頼らなければいけなくなる」。

 「これに対し、サンはあくまでも技術を信じている」とシンガー氏は強調する。「技術を使うことで、顧客の問題は解決できると考え、それに必要なネットワーク・コンピューティングのインフラストラクチャを提供していくというのが、基本的な考え方だ。例えば、複雑さの問題をユーティリティ・コンピューティング技術で解決する手段として『N1』を提供している。Webサービスも複雑さをマネジメントするのに役立つ。もちろんJavaも、ネットワーク・コンピューティングを推進する“エンジン”として大きな役割を果たす」。

 「IBMとサンのモデルはどちらもパワフルなモデルだ。IBMはすべての領域のすべての顧客を目指している。これに対し、サンは限られたニッチな分野を目指している。もしも技術が効果を発揮するなら、我々が有利になるだろう。もしも技術が効果的でないなら、IBMが優位に立つだろう」。シンガー氏はこんな見方を披露した。

田中 淳=日経コンピュータ、米サンフランシスコ発