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 日本IBMは6月16日、メインフレームで動くCOBOLアプリケーションの再構築を支援するSIサービス「レガシー・トランスフォーメーション・サービス」を提供開始した。最大の特徴は、既存システムのアプリケーションや業務ロジック、業務要件を活用して新システムを構築すること。再構築にかかる費用の削減と期間の短縮を目指す。

 押谷幸広アプリケーション・マネージメント・サービス担当理事は、「レガシー・システムの維持費用が膨らんでいることに悩む企業は少なくない。一方で、再構築するにも、これまた多額の費用がかかる。再構築の費用を抑えたサービスは、こうした企業の課題を解決できる」と断言する。

 新サービスは、大きく分けて二つのステップからなる。まず最初に、既存システムの“棚卸し”の役割を持つ「クレンジング・サービス」を実施する。具体的には、システムのログを解析して、「このアプリケーションはここ数年、動かしていない」といった要/不要の区分けをしたり、設計情報や業務要件の文書化、サブシステム間の連携具合の調査などを行う。さらに、現行システムで使っている業務用語の意味や用語同士の関連を明確にしたり、用語の統一を進める。「再構築に先がけ既存システムを整理することで、再構築の手間を減らせるほか、移行の精度を高めることもできる」(押谷理事)。

 次のステップが、棚卸し結果に基づき新システムを再構築する「再利用による再構築サービス」である。既存システムから導き出したDFD(データ・フロー・ダイヤグラム)といった設計情報を活用して新システムの設計を進めたり、データ同士の関連情報を基に、階層型データベース「IMS」上のデータをリレーショナル・データベース「DB2」に移行したりする。既存のCOBOLプログラムから流用できる業務ロジックは、抜き出し、そのロジックを実現するJavaのプログラム部品を作る。再構築の対象は、「当面はCOBOLだけだが、将来はPL/Iもサポートしていく」(押谷理事)予定だ。

 日本IBMの試算によれば、30万ステップのCOBOLアプリケーションをJavaアプリケーションとして再構築する場合、再利用率が50%として、開発コストを2割削減、開発期間を1割短縮できるという。「特に再利用で効果があるのが、設計・開発・単体テストの工程。約50%の効率化が見込める」(同カスタムAMSセンター第二デリバリー・センターの太田隆一コンサルティング I/Tアーキテクト)。再構築で稼働後の運用・保守費用を抑えることも可能になる。

 新サービスは当初、日本IBMのメインフレームで動くレガシー・システムを抱える企業のうち、数社の顧客に限定して提供する。そこでの効果を見ながら顧客を順次開拓していく。サービスの拡大を見据えて、既存システムを活用したシステム再構築の手順を確立する。「開発・研究部門と協力して、ソフト部品の切り出し方などを体系化していく」(太田I/Tアーキテクト)。社内の開発部隊への展開だけでなく、将来は協力会社でもサービスを提供できるようにする。

 料金は個別見積もり。日本IBMは原則的に、クレンジング・サービスと再利用による再構築サービスをセットで提供する。「最大の目的は再構築の効率化」(押谷理事)であり、クレンジング・サービスはあくまで、事前準備の位置付けというわけだ。なお日本に先がけ米国では、米IBMが今年4月に同様のサービスを発表している。

大和田 尚孝=日経コンピュータ