伊藤忠ファッションシステムの佐藤隆大氏 「ナレッジ・マネジメントの仕組みを社内に定着するには、細やかな気配りを継続することが大切だ」。こう力説するのは、伊藤忠ファッションシステム(ifs)の佐藤隆大マーケティング第12ビジネスユニットマネージャー(写真)だ。佐藤氏は同社のナレッジ・マネジメントの管理者(ナレッジ・マスター)を務めている。

 ifsはファッション関連のマーケティング/コンサルティングや、ブランドの代理店業務を手がけている。営業機会を逃さないようにするための情報共有を目的として2003年2月、社内ポータル・サイトを本格稼働した。その構築には、インフォ・アベニューがASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)方式で提供する情報共有ツール「Biz-Horizon(ビズ・ホライズン)」を利用。「利用履歴の調査結果によれば、現在ほぼ全社員がポータルを利用している。例えば、営業が専門外の案件を顧客から持ち掛けられた場合、従来は、きちんと担当部署に引き継ぐことができていなかった。ポータルの掲示板に案件を記入しておけば、担当部署がその案件を引き継げるようになり、機会損失が減少した」と佐藤氏は胸を張る。

 とはいえ、当初の利用率は3~4割程度だったという。「まず社長にポータルの掲示板へ書き込みをしてもらい、社員がポータルを見ざるを得ないようにした」(佐藤氏)。さらにシステムの利用履歴から、特定の人物の利用頻度が低いことが判明したら、その人の興味のありそうなことをトップページに載せるようにした。こういったこまめな配慮を続けたことが利用率の向上に奏効した。

 一方、「こういった細かい配慮をすればするほど、ナレッジ・マスターに負荷がかかる」(佐藤氏)。ナレッジ・マスターが他の職種を兼務していると、どうしても質が低下しがちだ。その結果、折角導入したナレッジ・マネジメント・システムが利用されなくなるケースは少なくない。佐藤氏も、事業部門のマネージャを兼任していて、業務負荷は大きい。

 そこでifsは、ナレッジ・マネジメント室という専門組織を作った。計3人を配置し、ポータルの利用率の維持を狙う。「今後まず取り組む課題は使い勝手の改善。経営陣や社員などの職位に応じてポータルのトップに表示する情報を変えることで、目指す情報にたどり着きやすくする」と佐藤氏は意気込む。

(広岡 延隆=日経コンピュータ)