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 長崎県日本総合研究所は7月22日、オープンソース・ソフトを利用した自治体システム構築のビジネスモデル特許を共同で出願した。長崎県が開発したシステムを、県内外の自治体や民間企業にオープンソースのアプリケーションとして提供する体制を特許内容としている。特許料徴収が目的ではなく、長崎県の取り組みをアピールするのが狙いという。

 同特許では、長崎県庁でこれまで稼働した「電子県庁システム」の各種アプリケーションをオープンソースとして公開し、地場のIT企業を通じて、他の自治体や民間企業に提供する。提供するのは、2003年4月に稼働した漁業向けのGIS(地図情報システム)や、2003年6月に稼働した文書管理と電子決裁、人事異動通知システムなど。アプリケーション自体も、OSにLinux、データベースにMySQL、Web系開発言語にPHPなどを多用して開発。これらのアプリケーションは、複数の地場のIT企業に開発を発注した。外販も地場のIT企業に委託することで、地元のIT産業の活性化を図る。

 今回のビジネスモデル特許では、地場IT企業のほかにもNPO(非営利組織)や大学との連携を盛り込んでいる。実際に年内にも、長崎県内のIT企業が中心になってNPOを設立する。設立予定のNPOは、ユーザー先でのカスタマイズによるアプリケーションの変更部分や、データベースの共通仕様の策定などを調整をする役割を担う。大学には、アプリケーションの品質やセキュリティ・ホールの検査を依頼する。地元の長崎シーボルト大学と、オープンソースのGISを開発する埼玉大学の情報系学部学科と協業する予定だ。検査作業に対しては、県が大学に料金を支払う。

 ライセンス料金は、長崎県内の自治体に限り無料となる。民間企業と他県の自治体ユーザーは有料となる。ただし、他県の自治体ユーザーのライセンス料金は、民間企業よりも安くする方針だ。価格は未定だが、「長崎県が利益を得るほど高い価格設定にはならない」(島村秀世 総務部参事監 情報政策担当)見通し。アプリケーションのソースコードはすべて公開しているので、ユーザー企業が独自の判断でシステム構築作業の委託先を決定できる。だが、アプリケーションの著作権を持つ長崎県は、構築ノウハウがある長崎県内のIT企業に発注してくれるよう訴えていくという。

 長崎県は2003年1月にも、オープンソース・ソフトを利用した自治体システムの設計・発注に関するビジネスモデル特許を出願している。県が仕様書作成などのノウハウを長崎県内のIT企業に提供し、上流工程の実力を持ってもらうことで、地域のIT産業を振興する内容だった。このビジネス特許モデルをもとに開発したオープンソースのアプリケーションを、県内外の自治体や民間企業にも提供する仕組みが、今回のビジネスモデル特許の内容にあたる。すでに、民間企業や他県の自治体から電子決裁システムについての引き合いが来ているという。

鈴木 淳史=日経コンピュータ