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リコーの桜井社長 リコーは7月25日、同社がシステム構築を請け負っている北海道帯広市の戸籍データを格納した磁気テープを誤って紛失したことを明らかにした。同社は6月2日に紛失の事実を確認、その後、追跡調査を続けたが、現在まで発見できていない。リコーの桜井正光代表取締役社長(写真)は、「帯広市民の皆さんや帯広市役所の方々にお詫び申し上げたい」とした上で、「このような事態を二度と起こさぬように個人情報の取り扱い規定の見直しや内部監査の実施、社員教育の徹底など、万全の体制を作る」と述べた。

 リコーが紛失したのは、帯広市の「除籍・改製原戸籍検索発行システム」が扱うデータの一部。事故はトラブル原因の解明のためにデータを格納した磁気テープをリコーの拠点とやり取りする過程で起こった。磁気テープを宅配便を使ってやり取りしたところ、宅配便業者が紛失した。

 紛失の発端となったトラブルは、今年4月4日に発生した。リコーは2001年12月、帯広市に納入した除籍・改製原戸籍検索発行システムからの帳票出力が一時的に正しくできなくなった。

 リコー関連会社のエンジニアが調査したが、出力トラブルの原因を突き止められなかった。トラブルも4月4日以降は再発しなかった。

 そこでエンジニアは横浜市にある同システム専門の拠点「リコー戸籍情報システムコールセンター」から「戸籍データを磁気テープに格納して、宅配便で送れ」との指示を受けた。技術者は帯広市側の許可を受けた後、4月7日、テープをフットワークエクスプレスの宅配便で横浜市のセンターに送った。

 テープは無事に到着したが、センターは出力トラブルの原因を解明できなかった。リコーと帯広市は「再発したら対応する」ことで合意、この件はいったん収まるかにみえた。5月16日、リコーは預かっていた磁気テープを宅配便で帯広市に送り返した。今度はヤマト運輸を使った。発送した旨はすぐに帯広市に連絡した。

 ところが、磁気テープは帯広市側に到着しなかった。冒頭に記したように、輸送の過程で何らかの作業ミスか事故があり、テープは行方不明になった。

 テープの未着に気付いた帯広市の担当者は5月30日の金曜日、リコーに連絡。ここで事件が発覚した。リコー側の担当者は、帯広市から連絡を受けるまで未着の事実に気付かなかった。

 週明けの6月2日からリコーとヤマト運輸は捜索活動を始めたが、現時点まで発見できていない。リコーは「消去法で考えると、羽田空港内のヤマト運輸の仕分け場で廃棄物にまぎれて粉砕焼却処理された可能性が高い」(桜井社長)とみている。ヤマト運輸のシステムは、仕分け場に当該の荷物が搬入された記録はあるが、搬出記録がないからだ。「前後に仕分け場で処理したほかの荷物をすべて調査したが、誤配の事実もなかった」(同)という。盗難の可能性も否定できないが、「集荷場の入退室を記録したビデオを精査したり、従業員に聞き取り調査をした結果、盗難ではないと判断した」と桜井社長は力説する。

松浦 龍夫=日経コンピュータ