米IBMのドン・B・アトキンス副社長
 「経済が好調でない時期は、企業のIT投資が絞られるのも仕方ないこと。しかし、投資が抑制されているからといって、目先の案件をこなすだけの短期的なIT投資を繰り返すのは危険だ。企業システム全体の整合性が取れなくなり、結果的にマイナスになってしまう可能性があるからだ」。米IBMで世界全体の販売・マーケティング責任者を務めるドン・B・アトキンス副社長は、こう強調する。

 アトキンス副社長は、「IT投資の確保が厳しい時期こそ、常に長期的な視点でシステム全体の観点から、システムのアーキテクチャを決めたり製品を選定すべきだ。それが、少ない投資でより大きな効果を得るための手段である」と続ける。

   システムのアーキテクチャや製品選定で、アトキンス副社長がもっとも重要だとするのが、システムのオープン性だ。「ビジネスの変化が早い時代のシステムは、取引先や外部システムといかにダイナミックに接続できるかが勝負。システムがオープン性を確保していれば、必要に応じてすみやかに外部とシステムをつなぐことができる」(アトキンス副社長)。

   これに対して、中長期的なIT投資の視点がなければ、オープン性を犠牲にした安価な製品を買ってしまうこともあり得る。短期的な視点でIT投資を行い、結果的に不幸になるパターンだ。アトキンス副社長は、顧客を無視したITベンダーの販売戦略が、顧客企業のIT投資に悪影響を及ぼしていると見る。

 「ITベンダーのなかには、製品の価格だけを強調して、特定のOSやソフトウエア、ハードウエアを販売する企業がある。しかし、顧客企業にとって重要なのは、自社のビジネスの要求を満たせるかどうか。いくら価格が安くても、製品の価値が低ければ顧客にとっては無駄遣い。ITベンダーに特定のプラットフォーム製品を薦められたら要注意だ」(アトキンス副社長)。

 アトキンス副社長は、「IBMは、特定のプラットフォームだけを顧客に無理やり薦めることはしない。幅広いソフト製品の選択肢を用意している。パートナのITベンダーが開発しているソフトも世界規模で取り扱っている。顧客企業はそうした中から、自社にとって最適な製品を組み合わせて使うことができる」と、IBMの優位性を強調する。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)