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 「近い将来、クルマや家電、携帯電話など、あらゆる機器にハードディスクが組み込まれる社会が到来する。このような時代を想定して、機器のあり方や利用方法、課題などを研究していく必要がある」。日立製作所システム開発研究所の小島啓二情報サービス研究センタ長は、このように話す。

 日立のシステム開発研究所は昨年(2003年)秋に、「ユビキタス・ハードディスク」と呼ぶプロジェクトをスタートさせた。ハードディスクはビデオ・レコーダや携帯型オーディオ・プレイヤの記録媒体に使われるなど、家電への進出が急速に進んでいる。ユビキタス・ハードディスクの研究では、「ハードディスクがより小型化・省電力化する将来を『先読み』し、利用方法や適用方法を考えていく」(小島センタ長)。例えばクルマなら、エンジンの状態を逐次ハードディスクに記録することで、そのデータをメンテナンスに役立てるといった用途を考えている。

 日立はストレージ関係のビジネスに経営資源を集中的に投下している。それに呼応し、システム開発研究所は、ストレージの応用に関するさまざまな研究を進めている。ユビキタス・ハードディスクはその一つである。

 同研究所が力を入れているもう一つの研究テーマは、「データ・ライフサイクル・マネジメント」。ここでいうデータ・ライフサイクル・マネジメントとは、数十年間安心してデータを預けておけるようなストレージ・システムの実現手法を指す。「情報システムが社会活動のライフライン(生命線)になったいま、データを安全に、かつ確実に保存することの重要性が増している。情報システムで公文書を扱うことが一般的になりつつあることもあり、データを25~30年程度のスパンで管理するという『時間軸』に焦点を当てる必要が出ている」と小島センタ長は話す。

 同研究所はデータ・ライフサイクル・マネジメントに関して、データのタイム・スタンプの信頼性を確保する技術や、暗号解読技術が向上しても何らかの形でデータの安全性を確保できるストレージの運用方法などに関する研究を進めている。「単体の技術だけでなく、ソフトや運用体制といった全体の仕組みを考えていくことがポイントだ」(小島センタ長)。

 「ストレージの研究は企業だけでなく、一般消費者にとっても大いに意義のあるテーマだ」と小島センタ長はみる。「すでに家族の写真やビデオなど、個人の大切な記録をハードディスクに入れる時代になっている。この傾向は今後いっそう強くなるはずだ」(同)。

高下 義弘=日経コンピュータ