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 「ユーザーは、eラーニングをあくまで社内教育手段の一つととらえている。ところが、ベンダーはeラーニングですべてを賄えると考え、必死にそれだけを売り込もうとしている。ベンダー側の提案にユーザーがピンと来ないのはそのためだ」。教育関連のコンサルティングを手がけるラーニング・アーキテクチャ研究所の宮沢修二代表取締役は、こう指摘する。

 宮沢氏の発言は、eラーニングの普及を進める先進基盤学習協議会(ALIC)が3月26日に開催した2003年度成果発表会におけるパネル・ディスカッションで出たもの。同氏は、ALICで「多言語コンテンツ作成手法」に関するワーキング・グループ(WG)のリーダーを務める。

 パネル・ディスカッションには、宮沢氏を含むALICのWGリーダーが参加。eラーニングの導入方法に関するさまざまな意見を交わした。「企業内教育・高等教育インストラクショナルデザイン」に関するWGのリーダーを務める青山学院大学の佐伯胖教授は、「eラーニングだけで人材を育成できると思ってはいけない」と強調。「eラーニングと集合教育の両方を利用する『ブレンディッド・ラーニング』でなければ、創造性が高く、ものづくりができるような人材は育たない」と指摘した。

 「企業がeラーニングに求める質が変わってきているのではないか」という疑問を呈したのは、「コンテンツの品質」に関するWGのリーダーを務める産業能率大学総合研究所の平田謙次上級研究員。「今までeラーニングは基礎知識を定着させるために利用することが多かった。最近は、より実践的な知識を習得させることを目的として、eラーニングを利用する企業が増えているのではないか。業務を進めるうえで必要な知識をその場で提示することを狙った『EPSS(Electronic Performance Support System)』としてのニーズが高まっている」と、平田上級研究員は話す。

 発表会ではほかに、「eラーニングを実施するためのプラットフォームやコンテンツの標準化」と「eラーニングにかかわる人材の育成」といったテーマを中心に、四つのワーキング・グループの成果を発表。同時に「企業内教育eラーニングプロフェッショナルの育成カリキュラムの開発及び実証実験」や「協働作業に対応した典型的オーサリングツール開発」といった七つの実証実験に関する成果が発表された。

島田 優子=日経コンピュータ