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 マイクロソフトは、 1台のパソコンで複数のOSを動かすエミュレータ・ソフト「Microsoft Virtual PC 2004」を5月6日から順次発売する(関連記事)。

 Virtual PCは米コネクティクスが開発したエミュレータ・ソフトで、米マイクロソフトが昨年2月にMacintosh版とWindows版の一切の権利を買い取り、開発を続けてきた。Windows XP Professionalなどを搭載したパソコンに、Windows 98など他のOSを追加インストールし、両方のOSを並行して動かすことができる。今回の製品は、マイクロソフトの手による初のバージョン・アップ版で、ネットワーク機能などを強化した。パッケージ版の推定小売価格は1万5800円である。

 同社はVirtual PCを、企業へのWindows XPの導入促進に向けた戦略商品と位置付けている。Windows XPは、発売から既に2年半が経過し、パソコン・メーカーによる標準搭載が進んだ。しかし「企業ユーザーの中には、依然としてWindows 98やWindows NT 4.0を使っている。Windows XPのコーポレート・ライセンスを以前から保有しているのに、アップグレード作業に着手していない顧客も多い」(ウィンドウズビジネス本部Windows 製品部クライアントグループの清水久裕氏)。企業にWindows XPを浸透させ、ついでにOffice XPも買ってもらいたいマイクロソフトにとって、旧OSユーザーを使い続けるユーザーの存在は悩みの種だ。

 そこで同社が打ち出した対策の一つが、今回新版を発売したVirtual PCである。マイクロソフトは、古い業務用ソフトを使い続けるためにWindows XPへの移行をためらう企業ユーザーをターゲットに、急ピッチでVirtual PCの新版を開発してきた。加えて同社は、「クライアント環境標準化」をキーワードに、企業ユーザーにWindows XP搭載パソコンの一括導入を勧めている。

 しかし、実際にVirtual PCの恩恵を受ける企業ユーザーは多くなさそうだ。Windows XPなどを搭載した新しいパソコンで古い業務ソフトを使うには、Virtual PCをインストールした後、Windows 98などの旧版OSをインストールする。ところが、肝心の旧版OSは入手困難で、元のパソコンのOSを再利用しようにもライセンス上の制約がつきまとう。

 例えば、今までWindows 98搭載パソコンを使っていたユーザーが、新たに購入したWindows XP搭載パソコンの上で従来の業務ソフトを動かしたい場合。本来はバーチャルPCとともに新しいWindows 98を購入すれば良いのだが、既に発売中止になっているWindows 98のCD-ROMを、企業ユーザーが一括購入するのはほぼ入手不可能である。

 だからといって、古いパソコンに購入時からCD-ROMで添付されていたWindows 98を、新しいパソコンにインストールする訳にもいかない。こうした「OEM版」と呼ばれるOSをユーザーが別のパソコンで再利用することを、マイクロソフトがライセンス文書の中で禁じているためだ(Windows 95以前のOSにはこうしたライセンス条項がなかったため、新しいパソコンで再利用できる)。

 Windows XPへの移行を考える企業ユーザーにとって、Virtual PCへの過大な期待は禁物だろう。

(本間 純=日経コンピュータ)

【お詫びと訂正】 本文5段目「しかし、実際に…」で始まる文章の記述に誤りがありました。Windows XP Professionalのボリューム・ライセンス版には、旧版OS(Windows95/98/98SE/NT4.0/2000)のCD-ROMが付属しています。マイクロソフトが昨年10月に改定したライセンス契約により、1台のパソコンでWindows XPと旧版OSを併用できます。お詫びして訂正いたします。