日本アパレル産業協会は5月26日、UHF帯(950MHz)のICタグを使った物流効率化実験の模様を公開した。実験の目的は、衣料品にICタグを取り付けることで、入出荷時の検品作業をどの程度効率化できるかを確認すること。「想定していたよりも、一括で読み取らせたときのICタグの読み取り率は高かった」と、日本アパレル産業協会の中曽根晟二参事は報告する。

 実は同協会は昨年度、13.56MHz帯のICタグを使って同様の実験を行っている。13.56MHz帯のICタグを使うことで、作業の内容によっては従来の手作業の半分程度の時間で検品ができることがわかった。今回のUHF帯の実験では、さらなる効率化が期待できる。UHF帯のICタグの読み取り可能距離は120cm程度と、30cm程度である13.56MHz帯のICタグよりも長い。このため、複数のICタグを一括で読み取れるはずだからだ。そこで今回、同じ条件で13.56MHz帯のICタグでも実験を行い、比較した。

 ICタグの読み取り実験は、アンテナの形状や商品の種類を変えて複数の項目について実施した。例えば、金属製のラックにUHF帯のICタグを貼付した20着の紳士用スーツを吊し、ゲート型のアンテナの間を通過させた(写真[拡大表示])。その結果、わずか8秒ですべてのICタグを読み取ることができ、大幅に作業を効率化できることがわかった。

 同じ条件における13.56MHz帯のICタグで行った実験では、20着の検品に25秒かかった。ただし13.56MHz帯では読み取り可能距離が短いため、ゲート型のアンテナではなくハンディ型のアンテナを使った。一括読み取りができる分、UHF帯のほうが検品作業時間を短くできそうだ。

 一方で、UHF帯の欠点も確認できた。例えば、ICタグを取り付ける衣料品の生地の厚みが増すと、読み取り効率が大幅に下がる。Tシャツを15着以上重ねると読み落としが発生した。13.56MHz帯のICタグでは、同じTシャツ20着でも7秒で完全に読み取れた。

 読み取るつもりのない別の商品のICタグまで読み取ってしまうのも難点だ。例えば、棚に置いてある商品のICタグを読む場合、ハンディ型のアンテナをその商品に近付けようと動かしただけで、隣や上下にある商品のICタグまで読んでしまう。

 今回の実験は、アパレル・メーカーである三陽商会の物流センター内で実施した。日本アパレル産業協会は6月中旬までに、オンワード樫山の厚木物流センターや伊勢丹新宿本店などでも同様の実験を行う予定である。企業によって業務フローや扱い商品が異なる。さまざまな環境でデータを集めるのが目的だ。

福田 崇男=日経コンピュータ