PR

 「全世界約8万人のインテル社員の業務を支えるITインフラの運用において、目下の急務は対応時間の短縮とコスト削減。そのため2003年の半ばから、ITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)などのベスト・プラクティスを社外から取り込むことで、運用業務のプロセスを改革する方針に転換した」。インテル(日本法人)の海老沢正男情報システム部部長は、インテルがシステム運用フレームワークの事実上の業界標準であるITILの導入に着手した理由をこう語る。

 「インテルにとって情報漏洩は絶対に許されない。セキュリティ対策は多面的に強化しているが、特に重要なのは、既知のセキュリティ・ホールへの修正ソフトを確実に短時間で全システムに適用すること。全世界の業務が共通のITインフラに依存しているので、どの時間帯でも止めることはほとんど許されない」(海老沢部長)。そのためインテルは、ITILで言う「変更管理」、「リリース管理」および「構成管理」の運用業務プロセスに焦点をあてて、改革に乗り出した。確実に短時間で修正を完了するには、ツールなどで自動化できるプロセスへの移行が必要、という考えだ。

 インテルは2004年内に、サーバーの変更管理、リリース管理、構成管理から、実際のITインフラの運用プロセスをITILに沿って見直した形に移行し始める。「現時点ではシミュレーションでの予測値だが、この3分野のプロセスを改革することで、運用管理の時間を65%削減できる」(海老沢部長)という。

 「過去10年近くTCO(総所有コスト)削減の取り組みを続けて成果を出したが、独自に考える改善は限界に来た」(海老沢部長)。だがインテルの経営トップはシステム部門に対し、2003年から06年までの期間でITサービス提供コストの単価半減、という厳しい目標を与えている。「アプリケーション開発では当社も他社も、独自開発を捨ててERP(統合業務パッケージ)などの標準技術を活用して、コスト削減と期間短縮を達成した。運用業務も同様に、標準を活用してコスト削減と期間短縮を実現するべきだ」(海老沢部長)。

 「運用に標準技術を活用する」土台としてインテルは、IT部門に属する全世界の約4000人の社員全員に、ITILの基礎知識を教育する方針を決定。この6月初旬から順次、教育スケジュールを示している。「このような大規模な教育体制を採った前例は『セキュリティ』と『コンプライアンス』だけ」(海老沢部長)。ITILがこの両者に匹敵する、IT部門必須の知識と見なされたのだ。約4000人への教育は来年までかかる見込みだという。

 海老沢氏は7月23日に開催されるitSMF Japanコンファレンス(http://www.itsmf-japan.org/events/index.html)の基調講演で、「グローバル企業におけるITサービスマネジメントへの取組み」と題して同社のITIL導入への取り組みを語る。同コンファレンスではitSMF Japanの事例研究分科会からも、インテルをはじめP&Gなどのユーザー企業のITIL導入事例が紹介される予定だ。

千田 淳=日経コンピュータ