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SUSEの統合管理ツールでクラスタリングの設定をする画面

 Linuxの最新版であるカーネル2.6を採用したサーバー用ディストリビューションを、競合他社に先駆け、ノベルが8月5日に出荷開始した。カーネル2.6は、性能や信頼性が高く基幹系システムでも通用すると評判が高い。ノベルは日本IBMと協力体制を敷き、基幹系システムのLinux市場に先手を打つ。

 カーネル2.6を採用した製品は「Novell SUSE LINUX Enterprise 9」。SUSEは欧州でシェアが最も高いLinuxディストリビューションである。ただし日本でのシェアはまだ低い。米IBMはノベルに出資しており、日本IBMが積極的に後押しするため、日本でも注目を集めているところだ。実際、関係者によると「日本IBMがLinuxでシステムを構築する場合のほとんどがSUSEを利用している」という。

 製品としても、基幹系システムでの利用に耐えるポテンシャルを持つ。

 カーネル2.6は、マルチプロセサ対応を強化し、32CPUを備えるハイエンドのサーバーで性能を出し切ることができる。例えば日本ユニシスでは、ハイエンドのIAサーバーであるES7000にカーネル2.6採用のディストリビューションを搭載し、販動を強化していく予定だ。カーネル2.6はこのほか、セキュリティ機能拡張モジュールのSELinuxを取り込み、アクセス制御などセキュリティ機能の強化を図っている。ノベルは、クラスタリング機能を追加し、信頼性も強化している。

 またノベルは、Webアプリケーション・サーバーのJBOSSや、データベース管理システムのMySQL、PostgreSQLなど、オープンソースのミドルウエアをバンドルして提供する。さらに、これらのサポートもOSと同じく実施する。「他のLinuxディストリビューションとの違いは、サポートとパートナ」(同社 マーケティング本部斉藤雅美本部長)というように、サポートのメニューは充実している。製品価格に含まれるインストールや設定の問い合わせから、「最初のレスポンスまで15分」という緊急対応が可能なサービスまで9段階を用意。ただし最高レベルでは年間4500万円かかる。

 カーネル2.6の登場で基幹系システムでLinuxの採用が加速すると予想される。ある大手メーカーのLinux関係者は、「カーネル2.6をターゲットとして、基幹系システムの再構築について大手企業からいくつか相談がきている」と明かす。一方 最大のライバルであるレッドハットは、「カーネル2.6を採用した新版の予定は明確になっていない」と語る。同社の製品提供ペースから見れば、来年春ごろ提供開始される見込みだ。これら状況をかんがみれば、「2007年までに金額ベースのシェアで半分を取りたい」(斉藤本部長)という狙いは現実味がある。

森側 真一=日経コンピュータ