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 「(体系化や標準化が進んでいる)プロジェクトマネジメントと言えども、独自性がなければ他社との競争には勝てない。日本型プロジェクトマネジメント能力を生かした差異化が重要だ」。神戸大学 経済経営研究所の延岡健太郎教授は2日、都内で開催された「PMシンポジウム2004」の基調講演において、こう強調した。

 延岡教授は、昨今の日本企業、特に情報・電子・家電産業における日本企業の競争力が低下した原因の一つとして、環境の変化を指摘。市場が変わってきたことによって、もはや、日本が得意としてきた、効率的な製造や製品開発を行う「価値創造プロセス」と、優れた技術革新や優れた商品といった「技術・製品価値創造」の二つの軸による経営では利益を上げることができない。いかに利益を確保するかという「事業価値創造」が重要になっていると語った。さらに、「事業価値創造」はひとことで言えば「差異化や独自性」であると説明した。

 プロジェクトマネジメントも同様で、体系化された手法でプロジェクトの期間やコストを半分にしても、競合他社と同じことをやっている限り、競争に勝つことはできない。もちろん、「絶対値を良くする」ことは重要だが、並行して「差異化」を図らなければならないと主張する。

 さらに、そのプロジェクトマネジメント能力こそ事業価値を創造するのに求められると語る。付加価値をつけ、利益を獲得するには、組織能力で他社との違いを出すことが重要だからだ。日本企業の組織能力の強みは擦り合わせ能力、すなわち、社内外の複数の部門が調整してことを進める能力なので、そこを鍛え直すことが日本企業の国際競争力を向上させるためには必要ではないかと提言する。

 講演は、「PMシンポジウム2004のような場に集まってプロジェクトマネジメントを体系的に学んだりすることも重要だ。しかし、横並びではなく、自社こそがリーダーとなって他社とは違った独自のプロジェクトマネジメントを作り出す、そして、自社にしかない組織能力の構築を目指すという気概を持ってほしい」というコメントで締めくくった。

小原 忍=日経コンピュータ