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 「ICカード市場は全世界で45億~50億ドル規模に達し、今後ますます拡大していく。ICカードには、より高度なアプリケーションが搭載され、複雑な処理をこなせるようになる」。米IBMのソフトウエア部門でパーベイシブ・コンピューティング事業に携わるトーマス・ヒッサム セールス・エグゼクティブ(写真)は、ICカード市場の成長をこう確信する。

 ヒッサム氏は、「市場の拡大に伴い、ICカードに搭載するソフトウエアの標準化がさらに重要になる」との見方を示す。現在、ICカード向けのアプリケーション実行環境は、「JavaCard」と呼ばれるJavaの実行環境が主流。「すでに全世界で、ICカードの6割近くがJavaCardを搭載している。この割合は毎年10%のペースで増えていくだろう」。

 IBMは、JavaCardのクラス・ライブラリやJavaVMなど、ICカード上でJavaアプリケーションを実行するのに必要なソフトをひとまとめにした組み込みOS「JCOP(JavaCard Open Platform)」を開発している。「調査機関のデータによれば、JCOPは決済向けICカード市場で50%のシェア、認証用ICカード市場で10~15%のシェアを持つ、世界最大のICカード向けOSだ」(ヒッサム氏)。

 JCOPの強みについて、ヒッサム氏は「高性能で品質が高く、JavaCardに準拠している」といった製品の特徴に加え、IBMが「優秀なJava技術者をたくさん抱えるていること」を強調する。

 IBMはJCOPの提供に併せて、オープン・ソースのJava開発環境である「Eclipse」に準拠したJCOP向けJavaアプリケーションの開発環境を提供している。サーバー向けのシステムからICカードを使った認証・決済システムまで、あらゆるシステムの開発環境をJavaで統一できれば、「多くのJava技術者を抱えるIBMが、ICカード市場でも実力を発揮できる」(ヒッサム氏)。

 ヒッサム氏は、「JCOPの事業は極めて順調」と話す。10月20日には、シャープが手がけるICカードにJCOPを搭載すると発表した。さらに、「NDA(機密保持契約)があるので具体名は言えないが、6~7件の提携・協業案件が進行中」という。「日本のメーカーはたいへん重要だと思っている」と、シャープ以外の日本企業との提携をほのめかす。

 IBMのパーベイシブ事業は、自動車や家電向けの組み込みシステムも手がける。組み込みデータベース「DB2 Everyplace」をソニーのデジタル家電向けに提供したり、音声認識技術「Embedded ViaVoice」をホンダに提供している。来年1月には、パソコンで稼働するクライアント・アプリケーションの使い勝手を向上させる「Workplace Client Technology Micro Edition(WCTME)」を採用したシステムが、日本生命保険で稼働する。

 IBMのJCOP事業は、ソフトウエア部門の中に位置する。日本IBMでは、ソフトウエア部門に加え、開発製造部門(APTO)のソフトウェア開発研究所も携わっている。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)