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 日本郵政公社は11月8日、一部のメディアが報じた「郵政公社は2007年4月の民営化・分社化に伴うシステム対応が可能と報告した」という趣旨の記事に対し、「誤報であり、著しく事実を歪めている」との正式見解を発表した。

 事の発端は、郵政公社が11月8日に開催した政府の「郵政民営化情報システム検討会議」に提出した資料「2007年4月までのシステム対応の可能性」にある。システム検討会議は、2007年4月の分社化・民営化が可能かどうかを情報システムの観点で検討する会議体。今年9月10日に閣議決定された「郵政民営化の基本方針」に伴い、政府が開いた。千葉商科大学の加藤寛学長を座長に、トヨタ自動車の天野吉和CIO(最高情報責任者)など6人の識者が委員を務める。郵政公社の山下泉CIOが、オブザーバーとして参加している。

 郵政公社は同資料において、「2007年4月に分社化・民営化する場合、システムはどの程度対応可能か」といった視点で、システム化が間に合わない機能やそれに伴う問題点、リスクなどを明らかにした。中身は、「ここまでなら2007年4月に実現できる」といった趣旨でなく、「2007年4月の時点では、ここまでしかシステム化できない」といった主張となっている。「あくまで可能性を検討しただけであり、2007年4月の分社化が可能との説明を行ったものではない」(郵政公社)。

 例えば、郵便貯金会社や郵便保険会社、郵便事業会社といった事業会社3社と、郵便局の窓口業務を担う窓口ネットワーク会社の間で、窓口業務の委託・受託に伴う手数料の正確な算定ができない恐れがあると指摘している。これにより、「手数料の正当性が証明できず、税法上疑問とされる可能性がある」という。

 郵政公社は民営化に伴い、預金保険機構への加入が必要になるが、資料では「預金保険法で義務付けられている『名寄せのための預金者データなどの整備』にもシステムは間に合わない」としている。「2007年4月の段階では、民間金融機関向け規制等の遵守も一部不可能。独立した会社として『経営可能』と言えるレベルには程遠い」との記述もある。

 郵政公社関係者は、「分社後の会社がそれぞれ独立採算でやっていくというのが、分社化・民営化の基本原則。2007年4月の暫定的なシステム化では、この原則に反する可能性がある。今回の資料は、そうしたリスクがあることを投げかけたもの」と説明する。

 公社は一貫して、2007年4月の分社化・民営化は無理との主張を展開してきた。今年9月の総裁記者会見では、生田正治総裁が「大まかに見て5200万ステップの修整が必要」と話した。その後、手直しが必要なシステム規模を「3600万ステップ」に絞り込んだが、それでも「郵政公社が抱える110システムのうち、89システムに修整もしくは再構築が必要」との見解を示していた。

大和田 尚孝=日経コンピュータ