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 ADSL事業者のイー・アクセスは1月6日、携帯電話事業に参入する計画を発表した。2005年内に事業免許を取得し、2006年に1.7GHz帯でW-CDMA方式によるサービスを開始する意向である。2005年1月1日付で同社の社長から会長兼CEOに昇格した千本倖生氏は、「現在の携帯電話の料金は馬鹿げている。半額を目指したい」と話した。

 同社は2004年12月に企画会社「イー・モバイル」を設立し、総務省への免許申請の準備を進めている。新たに開放される1.7GHz帯の周波数を使って、W-CDMA方式による第三世代携帯電話サービスを開始する計画だ。W-CDMAを応用した高速データ通信技術「HSDPA」も導入する。イー・アクセスは免許申請に先駆けて、2005年1月中に、富士通と共同で2GHz帯を使ったW-CDMA方式の通信実験を始める。

 これまで、同社は「TD-SCDMA(MC)」と呼ぶ新方式での参入を目指してきたが「新方式で通信機器メーカーの腰が重い」(千本会長)ために、既にNTTドコモやボーダフォンが採用しているW-CDMA方式での参入を決めた。W-CDMAの基地局設備が低価格化してきたため、同社は既存の事業者よりも低コストで設備を構築できると見ている。

 データ通信には定額制を導入する。音声でも、同社の携帯電話サービスの加入者同士の通話については定額制の適用を検討している。また、切手大の基板に携帯電話の通信機能を凝縮した通信モジュールを開発し、ゲーム機や携帯型音楽プレーヤーなどへ組み込むことで、携帯電話の利用場面を増やす。国内の携帯電話/PHSの加入者は8500万人に達し市場は飽和しつつあるが、イー・アクセスは低料金と新市場の掘り起こしで乗り切る考えだ。

 同社はADSL事業を黒字化し、2004年11月には東証1部上場を果たした。この勢いをバネに携帯電話事業に参入し、今後3000億円を投じて全国ネットワークを整備する。千本会長は、現在8兆5000億円ある携帯電話サービスの市場が数年後に約10兆円まで伸びると見ており、そのうち「10%のシェアを獲得したい」とする。新規周波数の割り当てと、2006年に予定されている番号ポータビリティ制度の導入で生まれる「10年に一度の参入チャンス(千本会長)」を生かす考えだ。

 なお、ソフトバンクが総務省に要求している800MHz帯の割り当てについて、千本会長は「新規参入事業者が、既存の事業者と同じ周波数を求めるのは非現実的」とした。800MHz帯と1.7GHz帯の併用を目指すソフトバンクと異なり、イー・アクセスは1.7GHz帯に注力していく。

本間 純=日経コンピュータ