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 「米国進出は失敗だった」。グループウエア大手のサイボウズで副社長を務める青野慶久氏はこう言い切る。同社は2004年12月7日に米子会社の清算を決定し、2年半の販売活動に終止符を打った。今後は米国での販売は少数の代理店に任せ、アジアや欧州の市場に重点を移す。

 同社は2001年以来、米子会社を拠点として、サイボウズOfficeの英語版「サイボウズ Share360」を約750社に販売した。しかし、顧客の2割が現地に進出した日本企業、5割がアジアや欧州の企業で、米国企業は3割に過ぎなかった。しかも、各企業の平均ユーザー数は30人と、日本の約半分だった。

 「米国ではマイクロソフトの製品が普及しており、我々が入り込む余地がない。米国人は想像以上に自国製品びいきだった」(青野氏)。広告費用を絞ったこともあり、2002年をピークに同製品の売り上げは減少していた。

 そこでサイボウズは、独SAPなど欧州のソフト企業の事例を分析した。「SAPといえども最初は米国市場で苦戦した。欧州で地道に販路を開拓したことが今の成功につながった」(青野氏)。英語版製品に対しては、日本企業が海外に抱える生産拠点からの引き合いが強かった。そこで、米国での活動を縮小する一方でアジア、欧州への展開を急ぐことにした。社員2人が常駐する米国オフィスは開発拠点として残し、販売活動を他の地域にシフトする。

 この新戦略を反映したのが、2005年1月13日から出荷を始めた新版「サイボウズ Share360 ver2.5」である。従来のサイボウズ Share360は英語版のみだったが、新版は10カ国語に対応。メニューなどの表示言語を、中国語、タイ語、インドネシア語や欧州各国の言語に切り替えられるようにした。

 販売方法も、従来の直販中心から、本来の顧客である中小企業に合うよう間接販売中心に切り替えた。「中小企業向け市場では、中小のSI業者や個人経営のシステム・コンサルタントが強い。1000社の代理店を集めれば、一つの代理店の販売数がたとえ2本でも、全体では2000本になる」(青野氏)。同社はWebサイトで代理店を募集しており、既にイタリア、ブルネイ、オーストラリア、中国などから引き合いが来ているという。2005年のShare360の売り上げ目標は5800万円である。

本間 純=日経コンピュータ