PR

 三井住友フィナンシャルグループのIT企業である日本総合研究所は今年2月にも、営業体制の抜本的な強化に乗り出す。最大の目玉は、日本IBMで営業部門のトップを経験した小名木正也氏を迎え入れたこと。小名木氏は昨年末に日本IBMを退職、今年1月1日付けで日本総研に転じた。2月からは、副社長執行役員として営業部隊を率いる。

 営業力強化が喫緊の課題だった日本総研が、IBMで顧問を務めていた同氏にラブコールを送ったことで実現した。小名木氏の招聘に当たっては、日本総研の奥山俊一社長が、日本IBMの大歳卓麻社長に「仁義を切った」(日本IBM関係者)とされる。

 小名木氏は転身の経緯について、「昨年3月にIBMで顧問となり、現場の第一線を退いた。それから身の振り方をいろいろ考え、IBMとはまた違う世界でもう一度やってみようという思いに達した」と説明する。日本総研を選んだ理由については、「一回ぐらい外資系でないところに勤めてみたい気持ちもあったから」と冗談交じりに話すにとどめた。

 小名木氏は、やり手のIBM営業として、全国で営業活動を展開してきた。特にメガバンクや全国の地銀、ノンバンクのシステム責任者からは、「IBMの顔」として今でも根強い評価を受ける。

 IBM営業の“親分”が他社に移るだけに、IBM社内やユーザー企業の間では、さまざまな憶測を呼んでいる。その一つが、「小名木さんはこれまでIBM製品を売っていたが、これからはNEC製品を売ることになるのか」との声だ。というのも、日本総研はNECと組んで、地銀向けのIT企業「N&J金融ソリューションズ」を設立しており、NECとの関係が深いからだ。

 小名木氏はこうした見方を全面否定。「どこかのベンダーをひいきするつもりはない。ITベンダーを組む必要があれば、日本総研でビジネスを成功させるためにはどうすればいいかといった視点で、案件に応じてその都度選んでいく」と強調する。

 もう一つの憶測は、「三井住友フィナンシャルグループ向けにIBM製品を売る目的で日本総研に乗り込んできたのではないか」というもの。これも「まったくの見当違い」と一蹴。「IBMはもう辞めたのだから関係ない。IBM出身だからといって、必要以上に肩を持つつもりはない」と断言する。

 今後の戦略展開について、小名木氏は「日本総研にきて間もないので、今はまだ社内でレクチャーを受けているところ」と明言を避けたが、「2~3カ月後には本格的に動き出したい。IBM時代にできなかったことをいろいろとやっていきたい」と、何やら秘策めいたものがある様子を見せる。

 小名木氏は1970年に日本IBMへ入社。専務としてサービス事業や金融システム事業を担当した後、IBMアジアパシフィック(AP)地域のフィナンシャル・サービス・セクターの責任者を経験。副社長、顧問を経て昨年末に退職するまで、35年近くIBMに勤めた。

(大和田 尚孝=日経コンピュータ)