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 「すでに1件の引き合いがある」。Whizzy R&D(ウィジー)代表取締役の石原省平氏は、昨年末に開始した著作権保護サービス「コンテンツシェルタ」についてこう語る。同社は、データマイニング・ソフトを開発する目的で昨年7月に設立されたばかりの企業であり、著作権保護サービスは2番目の事業になる。

 コンテンツシェルタは、Winnyを始めとするPtoPファイル交換ソフトによる著作権侵害に対抗するためのサービス。本物に似たダミー・ファイルをPtoPネットワークに放流し、相対的に本物のファイルの割合を低下させることでダウンロードしにくくし、著作権侵害の拡散を防ぐ。同社の実験では、ダミーの割合を最大約95%まで高めることができたという。米国ではすでに、同様のサービスを米オーバーピアや米メディアディフェンダなどが提供している。

 このサービスの目的は、ファイル交換ソフトによる著作権侵害を完全になくすことではなく、コンテンツの“旬の時期”に集中してコンテンツを守ることにある。例えば音楽CDやDVDであれば、リリースの前後1~2週間に集中してダミー・ファイルを流せば、売り上げに対する影響を少なくできる。もっとも、ユーザーがダミー・ファイルを見破るのはそう難しいことではない。例えばWinnyではファイルのハッシュ値が表示されるので、それを手がかりに本物とダミーを区別できる。コンテンツシェルタが対象にするのは、本物を執念深く追いかけるヘビー・ユーザーではなく、軽い気持ちでファイルをダウンロードするライト・ユーザーだという。

 ウィジーのような企業に頼らなくても、コンテンツ企業自身がPtoPネットワークにダミーを放流すれば、同様の効果は得られる。しかし石原氏は「コンテンツ企業が行うのは非効率」だと語る。より大きな問題もある。「偽ファイルを流す」という、見方によってはネガティブな行為をする会社だという評判が立てば、それだけでコンテンツ企業としてのイメージが落ちてしまう可能性がある。

 実際、サービスの利用を検討しているコンテンツ企業も名前が公になるのを恐れているようだ。「知り合いの社長を通じて匿名で見積もりの話が来たので、その企業の名前も知らない。指定されたファイルのサイズから音楽CD企業だと推測できるくらい」と石原氏は語る。半年間にリリースする50件のコンテンツに対する見積もりだったという。

 料金は、「その商品の採算ラインの1%くらいが目安」(石原氏)。例えば、1枚1000円で2万枚が採算ラインのシングルCDだとすると、料金は20万円程度になる。

大森 敏行=日経コンピュータ