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IPカメラがハンドルの上、通信端末は後部の荷台に 通信・放送関連の基礎研究を手がける独立行政法人の情報通信研究機構(NICT)は、アドホック・ネットワーク(無線PtoP)技術を応用した防災用の無線通信装置を開発した(写真)。オートバイなどに搭載し、携帯電話などのインフラが使えない状況で通信回線を確保するのが目的。神戸市で1月18日から22日まで開催中の国連防災世界会議で披露している。

 アドホック・ネットワークは、端末同士が直接接続しあい、自律的に構成する(用語解説)。NICTは、オートバイに搭載したカメラでとらえた被災地の様子を別のオートバイで中継して消防局に伝える、といった用途を想定している。

 NICTのシステムは、防災無線用に割り当てられた160MHzのVHF帯を使い、1キロメートル程度離れた端末間で通信できるようにしたのが特徴。被災地と消防局の間が遠い場合でも、中継用のオートバイを増やすことで、通信距離を数倍に伸ばせる。アドホック・ネットワークの開発は、NTTドコモや国際電気通信基礎技術研究所(ATR)など多くの企業や研究機関が進めているが、その多くは無線LANを使うため、端末間の通信可能距離は最大100メートル程度にとどまっている。

 NICTのデモでは送受信用に2台、中継用に1台の端末を使い、動画を伝送する様子を披露した。ルーティングを工夫することで、回線が途切れた場合にも別の端末を中継点として通信を再開できる。送受信した動画はMPEG4形式、伝送速度は256kビット/秒である。今後は、地上デジタルテレビ放送と同じOFDM(直交周波数分割多重)変調方式を導入し、伝送品質を高めることを検討している。

本間 純=日経コンピュータ