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 サービス指向アーキテクチャ(SOA)に関する最新の技術動向やユーザー事例を紹介するカンファレンス「サービス指向アーキテクチャ サミット2005」が東京・品川において開催中だ。カンファレンスを主催するガートナー ジャパンの飯島公彦リサーチディレクタに、SOAの普及状況や今後の予測を聞いた。

―現状、日本国内でのSOAの普及率はどうか。
 日本国内でSOAを導入済みの企業はほとんどなく、50、60社がパイロット・プロジェクトを進めているところだ。ここでいうSOAは、単にSOAP(Simple Object Access Protocol)で通信するだけではなく、サービスのリポジトリやESB(Enterprise Service Bus)を使ったものを指している。既に導入している企業の一つは、EAIツールを自社で開発するような技術力を持ち、かつSOAのメリットを明確に理解している。そんな企業はそうそうない。

―今後、SOAの導入はどの程度進むのか。
 今後浸透するのは間違いないが、時間がかかる。5年で2割を超える程度ではないか。時間がかかるのは、全体最適が必要だからだ。SOAを各部門単位で勝手に導入するだけでは、“マイSOA”のシステムが開発され、共有できないサービスが増えてしまう。データ中心アプローチが個別最適に陥ったのと変わらない。少しずつ進めるにしても、企業全体のIT戦略をまず決めなければうまくいかないだろう。
 実際、ある情報システム部門の人は「このままではサービスを再利用することは事実上無理」と嘆いていた。一つの部署が作成したサービスを他の部署が利用する場合、トラブル時に誰が責任を負うのかなどを決めておかなければ、ユーザーは自ら進んでサービス化に協力しない。今進められているパイロット・プロジェクトも、いくつかはそうした壁にぶち当たってSOA導入を止めてしまうのではないか。下手をすれば失敗の山を築く。
 ただ、“SOAレディ”のシステムは確実に増える。サービス・リポジトリやESBを備えたWebアプリケーション・サーバーが今年後半から来年にかけて一気に出そろう。パッケージ製品もSOA対応になる。バージョンアップすれば、SOAを使える環境にはなる。

―ユーザーはどのようにSOAに取り組みべきか。
 まず、SOAは技術であって、SOAありきで導入を進めるのは間違いだ。業務上の目的があり、それをSOAで実現できるかどうかを見極めてから進めなくてはいけない。また、SOAでシステムの柔軟性を確保できるとしても、パフォーマンスや品質のトレードオフがある点を念頭に、業務でどちらを優先するのかを考えて意思決定しなければ失敗する。
 SOAは全体最適を必要とするため全社に波及する。影響が大きいだけに、慎重にならなければいけない。生半可に取り組んでも、SOAの悪例を作るだけだ。

(聞き手は森側 真一=日経コンピュータ