「厳密に言うと我々の産業で中立的な企業などありません。アライアンス(提携)だらけですから」。PwCコンサルティングと日本IBMのコンサルティング部門が統合して発足する新会社、アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービスの木村正治社長(日本IBM常務を兼務)は、こう言い切った。

 コンピュータ・メーカーとしても、サービス会社としても世界最大であるIBMがPwCコンサルティングを買収した。その結果、顧客企業からは「PwCが持っていた、コンサルティングの中立性がなくなるのではないか」という懸念の声が上がった。また、PwCコンサルティングと共同で仕事をしていた国産コンピュータ・メーカーの幹部からは、「PwCがIBMになってしまったら、もはや一緒に仕事はできませんね」という意見が出ていた。

 冒頭の木村社長の発言は、コンサルティングの中立性に関する質問への回答であった。いささか乱暴な発言のように聞こえるが、この産業を見わたしてみると、木村社長が指摘するように、完全中立の会社を見つけることが難しくなっている。

 例えば、IBMに次ぐサービス会社であるEDSは数年前に、戦略コンサルティング会社のA.T.カーニーを買収し、傘下に収めた。IBMの今回の買収は、EDSの動きの相似形と言える。アクセンチュアは日本市場において、富士通と提携した。これはトヨタ自動車への食い込みと、電子政府市場への拡販を狙った提携と言われている。

 日本の独立系コンサルティング会社をみても、完全中立なところはなくなってきた。あるコンサルティング会社は、上場した後、システム・インテグレータに相次いで出資し、グループの陣容を拡大した。この会社は設立当初、「顧客側に立ってベンダー選定とプロジェクトマネジメントを手掛ける」としていた。現在は、グループ会社を使って、システム開発まで自社で手掛けつつある。

 逆に、大手システム・インテグレータの資本参加を受け入れた独立系コンサルティング会社も数社ある。こうした会社はコンサルティングをした後で、「実際のシステム開発は親会社のインテグレータが請け負えます」と提案することになるだろう。

 つまり、コンサルティング会社とインテグレータの連合は、ハードやソフト製品に対しては引き続き中立性があるものの、システム開発やアウトソーシング事業についての中立性はなくなっているわけだ。

 アライアンスを結んだ理由を各社に問うと、答えは共通である。顧客にコンサルティング結果を伝えると、「結果通りに仕事ができるシステムを持ってきてくれ」と言われるようになってきたからだ。実際、提案を出すだけで、システム実装力のないコンサルティング会社の仕事が減りつつあるという。

 こうなってくると、顧客企業には相当な管理力が求められる。コンサルティング会社やインテグレータあるいはメーカーを選定する能力、一貫したサービス全体の内容を吟味する力、一貫サービスの各工程の進捗をチェックする力、などだ。

 こうした総合的な管理力がないと、コンサルティングからアウトソーシングまですべてを丸投げしてしまうことになりかねない。ベンダーが望む方向へ引っ張られかねず、危険である。一貫サービスを売り込んでくる会社に対抗するために、顧客企業はさらに別なコンサルタントを雇う必要があるかもしれない。

谷島 宣之=コンピュータ第一局編集委員