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 米IBMは必要な情報をどこでも利用できるコンピュータ環境「パーベイシブ・コンピューティング」をコンセプトに掲げ,ソフトウエアやサービスの開発に取り組む。しかし「パーベイシブ」という言葉は日本でほとんど浸透していない。パーベイシブとは何を意味するのか,日本市場でどのように浸透を図っていくのかについてプリアル担当副社長に聞いた。(聞き手は市嶋 洋平=日経コミュニケーション編集)

--IBMの「パーベイシブ・コンピューティング」とは何を意味するのか

 我々の日常生活にはあらゆるところにコンピュータが入り込んできている。例を挙げれば,携帯電話やPDA(携帯情報端末),車載端末,セット・トップ・ボックスなど新しい端末が登場した。
 これらの端末を活用して,どこにいても必要に応じた情報にアクセスするというコンセプトが「パーベイシブ・コンピューティング」である。IBMはパーベイシブ・コンピューティングを実現するソフトウエアやサービスを開発している。実際には,98年に米IBMの研究所で取り組みが始まり,99年に担当部門を立ち上げた。かれこれ5年は取り組んでいることになる。

--具体的にどういった製品を開発し,提供しているのか。

 既に,さまざまな製品やサービスがある。
 一例を挙げれば,Webアプリケーション・サーバーの「WebSphere」に,アクセスしてきた端末に応じて情報の表示形式を変換する機能を組み込める。HTML(hypertext markup language)からPalm OS用のHTML,HTMLから携帯電話用のCompact-HTMLやWML(wireless markup language),HDML(handheld device markup language)といった具合に変換できる。HTMLから音声読み上げ用のVoice XMLを生成することも可能となった。これらは「WebSphere Transcoding Publisher」として提供している。
 携帯電話向けには,米クアルコムのアプリケーション実行環境「BREW」用のミドルウエア「BREWビジネス・プロファイル」を開発している。セールスやフィールド・エンジニアリングに携わる企業ユーザー向けのアプリケーション開発に活用できるものだ。今年の後半以降,BREW対応の携帯電話端末が増えてくれば,導入する企業が出てくるだろう。
 PDAではPalm OS,Pocket PC,Linuxといった標準的なOSがそろった。ユーザーがどのOSを選んだとしても,同じアプリケーションやサービスを利用できるようミドルウエアを用意している。

-- 日本では米国と違ってPDAがあまり普及していない。日本では携帯電話を使ったソリューションに力をいれるべきだと思うが。

 携帯電話の関連技術の開発は日本が特に進んでいる。パーベイシブ・コンピューティングの実現には重要な技術であると思っている。日本で開発された端末やサービスなど携帯電話技術は,海外に輸出されていくケースが増えていくことも見逃せない。こういったことから,日本における携帯電話を活用した開発にも本腰を入れていく。

--携帯電話はWebブラウザやJava仮想マシンの仕様が細かいところで異なる。パーベイシブ・コンピューティングではこの点を考慮しているのか。

 まさに現れたばかりの技術なのでそういったことが起きている。これに対処するため,モバイル・アプリケーションの標準化団体「OMA」(Open Mobile Alliance)で仕様の統一を図っていきたいと考えている。OMAに統合されたWAPフォーラムでも取り組んでいた。IBMとして,これらの団体には積極的に参加していく。