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インターネットイニシアティブ(IIJ)やNTTドコモなど国内事業者約30社は3月15日,迷惑メール撲滅に向けた対策組織「Japan E-mail Anti-Abuse Group(JEAG)」を設立した。背景にあるのは,深刻化している迷惑メールに対する危機意識。インターネット接続事業者(プロバイダ)だけでなく,携帯電話事業者も参加する。発起人の1社であるIIJの近藤学・プロダクト推進部プロダクトマネージャにJEAG設立の狙いを聞いた。聞き手は(蛯谷 敏=日経コミュニケーション

--JEAG設立の狙いと経緯を教えてほしい。

 「このままでは電子メールが利用されなくなる」という事業者の強い危機感がJEAG発足のきっかけとなった。米国では,電子メールの総トラフィックの7割以上を迷惑メールが占めているという報告もある。膨大な迷惑メールのせいで,電子メールを利用せずに電話やインスタント・メッセージでコミュニケーションを取るユーザーも増えていると言う。日本はこのような“末期症状”にはなっていないが,いずれは立ち向かわなくてはならない課題だ。

 迷惑メール対策に関する勉強会そのものは,設立の1年ほど前から有志を集めて開催していた。主に,米国の迷惑メール対策組織「Messaging Anti-Abuse Working Group(MAAWG)」の取り組みを中心に,海外の迷惑メール状況について意見交換をしていた。その中で,ゆくゆくは通信業界で連携して迷惑メール対策に当たる必要があることは話し合っていたが,各社の事情もあり,なかなか具体化しなかった。

 そんな状況が変わったのが,昨年の夏ころ。この時期,迷惑メールが世界的に増加した。日本でも大手プロバイダあてに大量の迷惑メールが送信されたため,危機意識が一気に高まった。それに伴い,勉強会に参加する事業者も飛躍的に増加してきたため,昨年の秋頃からJEAG発足のための調整を進めてきた。

--JEAGの活動内容は。

 迷惑メール対策を検討するためのサブワーキング・グループを発足させた。具体的には(1)Outbound Port 25 Blocking,(2)送信ドメイン認証,(3)ユーザーや事業者への迷惑メール対策啓蒙,(4)携帯電話あて迷惑メール対策--の4種類について,それぞれ作業班を設置した。

 各グループで先進的に導入している事業者などが蓄積した情報を,他事業者にも公開していく形で情報を共有していく。例えばIIJは(2)の送信ドメイン認証について積極的に取り組んでいるため,運用上のノウハウをグループで公開していく予定だ。

--迷惑メール対策組織に携帯電話事業者が参加しているのが画期的だ。

 日本は世界でも有数の携帯電話先進国であり,携帯電話向けメールは無視できない存在だ。携帯向け迷惑メールは今後さらに増加していくことは間違いない。だが迷惑メールのせいで,携帯電話とインターネットをシームレスに連携するメールの利便性を損なうわけにはいかない。そのためにはプロバイダだけでなく携帯電話事業者の協力も不可欠だ。

 携帯電話向け迷惑メール対策については日本が先進国。この件に関しては米国でもやっと議論が始まったばかり。日本が世界に先駆けて対策を考えていく。