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 今後の登場が見込まれる無線ブロードバンドに対し,どの程度の周波数を確保すべきかの議論を進める「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」。総務省が主催するこの研究会では,具体的な議論に先立ち通信事業者やメーカーに,想定される用途や技術,使用したい周波数帯と帯域幅の提案を5月まで募集していた。これに対し関西電力は,モバイルWiMAX「IEEE 802.16e」の利用を提案した。関西電力グループ全体の通信事業の企画を担当する北川卓志ITソリューションサービスグループリーダーに,同社がWiMAXを提案した狙いと今後の展開について聞いた。(聞き手は白井 良=日経コミュニケーション

――なぜWiMAXを研究会に提案したのか。

 関西電力グループで総合的な通信サービスを提供する上で,ワイヤレス通信サービスは重要な位置を占めるからだ。現在はPHSデータ通信サービス「eo64エア」を提供しているが,今後のコンテンツのリッチ化を考えると通信速度が遅すぎる。

 例えば子会社のケイ・オプティコムが提供するFTTH(fiber to the home)サービスでは,インターネット接続とテレビ放送,IP電話をまとめて提供する「トリプルプレイ」やビデオ・オン・デマンドの提供を検討している。こうしたサービスを,家の外でも使いたいというニーズが出てくる可能性がある。現行のeo64エアのユーザーへの提供は不可能だが,WiMAXなどの無線ブロードバンドならFTTHと変わらないサービスで提供できる。

 ただし,WiMAXはあくまでも無線ブロードバンドの選択肢の一つ。携帯電話事業者が安価に第3世代携帯電話サービスを卸売りすることがあれば,我々がMVNO(仮想移動通信事業者)としてそのサービスを利用する可能性もある。どういった方法を選ぶか,最終的な決定はまだ下していない。

――無線LANの面展開は考えなかったのか。

 我々にとって,無線ブロードバンドの実用化はかなり以前から検討していた課題。当然,無線LANも検討の対象となった。実際,2003年に屋外で無線LANが使えないかどうか検証する実験を実施している。具体的には,電柱の先に無線LANアクセス・ポイントを設置し,電波の到達距離や通信速度などを検証した。

 その結果,基地局の打ち方が難しく事業化には向かないと判断した。まず2.4GHz帯は,雑音や既設アクセス・ポイントからの干渉が多い。そもそも,キャリアとして安定したサービスを提供できるかは疑問符が付く。5GHz帯は干渉は少ないものの,端末と基地局の間に障害物がある状況では通信できないことが多かった。霧が出ただけで通信できない。街路樹の葉が茂ったことで,通信が不安定になることすらあった。

 WiMAXは無線LANよりも出力が大きいので,こうした問題を回避できると期待している。

――WiMAXをサービス化する場合,どの周波数帯が望ましいか。

 ユーザーがどこにいても使えるようにするには,低い方がよい。具体的には2.5GHz帯か3.5GHz帯。できれば2.5GHz帯が望ましい。周波数帯が違うと基地局の数も違ってくる。投資額が分からない状況ではサービス化の検討は難しいので,周波数帯はできるだけ早く決めて欲しい。

 また周波数は,1社占有の免許制が望ましい。登録制など複数事業者で共有する形だと,明日から突然使えなくなるという危険性がある。