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FDiネットサービスのシステム開発責任者である原誠・富士写真フイルム宮台技術開発センター主任研究員 |
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WindowsXPは,FDiと連動したMSNのWebサイトからプリント注文ができる機能を持つフォルダ「マイ ピクチャ」を装備
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富士写真フイルムがWebサイトを使って提供中の「FDi フジカラーネットサービス」(FDiネットサービス)は,ディジタル・カメラ(デジカメ)で撮影した画像データを写真プリントやポストカードにするサービスだ。
このサービスは,まさにブロードバンド時代にこそ真価を発揮する。ユーザーがアップロードする画像データの情報量が多ければ多いほど,銀塩写真と見間違うほどきれいな写真プリントが得られるからだ。
ブロードバンドとWinXPが追い風
プリントに向くデジカメの画像データは,少なくとも1枚当たり数百Kバイトになる。また,通常は一度に複数の画像データをプリント注文する。必然的に,定額料金で高速なADSLやCATVインターネットなどのブロードバンド回線を使いたくなる。
実際にFDiネットサービスのユーザー数は,ブロードバンド回線が普及し始めた2001年初めころから急増している。「登録ユーザー数は8月末で6万人に達し,年末には10万人に届く勢い」(富士写真フイルム感材部業務課の樋口淳氏)である。
FDiネットサービスには,さらに追い風が吹く。11月16日発売のマイクロソフトの新OS「WindowsXP日本語版」に,FDiネットサービスと連動したMSNのWebサイトに自動的にアクセスできる機能が搭載されるからだ。「マイ ピクチャ」と呼ぶフォルダ内に画像データを保存すれば,ウィザード形式で簡単に写真プリントを注文できるようになる。
システム側もブロードバンドに対応
FDiネットサービスは,システム面でもブロードバンド時代を見据えた大容量対応の仕組みを持つ。
例えば,FDiネットサービスのWebサイトには,通常のEC(電子商取引)サイトと異なりユーザー側から断続的に大容量データが送られてくる。そこで帯域管理装置を導入して,インターネット接続回線を効率良く使う工夫を施した。
WAN回線のコスト削減にも手を打った。FDiネットサービスは,富士写真フイルムのデータ・センターと約40社の写真現像会社のシステムとを結んで実現している。その間の通信には→インターネットVPNを活用。セキュリティを確保しながら,高速化とコスト圧縮の両立を試みている。
また11月から,インターネットを利用した新しいシステム連携形態として注目されるWebサービスに対応した点も特徴だ。XML文書をやり取りするSOAPプロキシ/リスナーを導入して外部システムとの連携を容易にし,他社のWebサイトにFDiネットサービスを提供する体制を強化した。
※全文は,日経コミュニケーション2001年11月5日号をご覧下さい。
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図 FDiネットサービスを実現するネットワーク・システム
本番用サーバー群のあるセグメントと,テスト用サーバー群のセグメントに大別できる。各サーバーをできるだけ単機能化することで負荷分散を実現。また,約40社ある写真現像会社とデータ・センターの間の接続回線はすべて,フレーム・リレーやISDNからインターネットVPNへ移行している最中である。データ・センターとインターネットの間は8Mビット/秒超のATM専用線で接続。この回線をFDiネットサービスのためだけでなく,会社の公式ホームページへのアクセス回線としても利用するため,帯域管理装置を導入して適宜スループットを調整している。
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