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情報系,勘定系,音声系ネットをIPで統合
障害対策に徹底した2重化を施す
音声系は独立の論理チャネルで品質確保


親和銀行は長崎県佐世保市に本店を置く地方銀行。2003年4月の九州銀行との合併に向けて,社内ネットワークを再構築する。情報系,勘定系に加え,音声系ネットもIPで統合。通信コストを全体の3割強,年間3億円近くも削減する。
(野沢 哲生)

 親和銀行と九州銀行は,2003年4月に完全合併し,改めて親和銀行として再出発する。2002年4月には持ち株会社の「九州親和ホールディングス」を設立し,同時に両行ともグループ会社「九州親和フィナンシャルグループ」(KSFG)の傘下に入った。現在は両行の合併作業の真っ最中だ。

 2001年3月に合併を発表後,2001年4月には親和銀行の情報システムをベースにネットワークの統合を進めるという方針を決定した。2002年8月から,いよいよ本格的な新規ネットワークの導入を始める。

IP統合でテレビ会議も視野に

 新ネットワークでは,NTT東西地域会社のATM(非同期転送モード)網サービス「メガデータネッツ」をWANに採用。長崎や福岡を中心に展開している約160店舗を接続する。現時点での店舗数は両行合わせて約180店だが,合併に伴って一部を統廃合する予定である。

 合併作業と並行し,これまで別々だった情報系と勘定系のネットワークを統合する。さらに電話やFAXの音声系ネットワークを→VoIP化し,情報系ネットワークなどとアクセス回線を一本化する計画だ。

 親和銀行の支店は,地理的には離れたところも多い。このため将来は,このIP網を使って支店長会議をIPテレビ会議で実現する構想を持っている。「支店の中には離島から来る店長も多い。わざわざ集まるのは大変」(岳村英敏システム部次長)だからだ。

初期費用12億円は4年で回収できる

 ネットワークに接続する2行分の端末台数は,パソコン約800台,店舗内外の現金自動預け払い機(ATM)約640台という規模。

 ネットワークは現・親和銀行の勘定系のホスト・コンピュータを残すほかは,ほぼ一新する。親和銀行の情報系ネットワークは8月から新しいネットワークに順次移行する。

 一方,現・九州銀行のネットワークは勘定系システムも完全に入れ替える。2003年5月までに新ネットワークの仮設置を済ませておき,5月の連休で旧ネットワークから一気に切り替える。両行ですべての統合作業が終わるのは2003年12月末になる見通しだ。

 ネットワークの新規構築にかける予算は,通信機器と回線の導入費用や,人件費などの合計で約11億8000万円。「短時間にマンパワーを使って切り替えを進めるため,人件費がかなりのウエイトを占める」(池田義行システム部長:写真)。

 一方,ネットワークの統合で年間の通信回線コストは激減する。情報系と勘定系のネットワークだけで,現状の7億5000万円から5億円へと,約2億5000万円も削減。さらに,専用線や外線を使っていた音声系ネットワークのコストも月間600万円弱から200万円強に減らせる見通しだ。合計で年間3億円弱の通信コストを削減でき,初期費用は4年で回収できる。

WAN/LANすべてで2重化を徹底

池田 義行
親和銀行
システム部長

 新しいネットワークを構築する上で親和銀行が最も重視したのは,障害対策である。

 まず,ネットワークの本格導入を始める前に親和銀行自身が模擬ネットワークを組み,運用に問題がないか複数のテストを実施。「これまでほとんどトラブルはない」(システム部システム運用グループの中川康司課長代理)ことを確かめた。

 さらに新しいネットワークは行内LANを含め,すべて2重化する設計にした。

 ネットワークは,IBMホストを設置した佐世保市浜田町支店内の「浜田町センター」,親和銀行本店,現在の九州銀行・福岡事務センターの計3拠点を中心にスター状に各拠点を接続する()。浜田町センターにある6台のルーターが,それぞれ20超の拠点を受け持つ形だ。

 WAN回線にはメガデータネッツのほか,INSネットをバックアップ回線として利用する。浜田町センターのアクセス回線部分ではINSネット1500を6本引いて,メガデータネッツの障害時もほぼすべての拠点から同センターへの同時通信を可能にしてある。ただし,メガデータネッツは同一県内に閉じた網サービスであるため,県間接続用にNTT-MEのATMベースの「XePhion高速ベアラサービス」,「同・高速IPエクストラネットサービス」も利用する。

 浜田町センターと福岡事務センターなど特に重要な拠点間は,2Mビット/秒のATM専用線2本で接続する。ここでも,障害対策として回線が両方とも同時にダウンしないように,利用するサービスをNTT西日本の「ATMメガリンク」と,NTT-MEのXePhionに分けた。

図 親和銀行と九州銀行の新ネットワークの完成後の構成
両行は2003年4月の合併に伴い,情報系,勘定系,音声系ネットワークをIPで統合する。東西NTTのATM(非同期転送モード)網サービス「メガデータネッツ」を県内のWAN回線として利用。一方,県間通信はNTT-MEの「XePhion 高速ベアラサービス」,または「同高速IPエクストラネットサービス」で接続する。バックアップ回線としてINSネットを利用。また,一部の離島などではサービスが始まっていないメガデータネッツの代わりに,東西NTTやNTTコミュニケーションズのエコノミー専用線DA/DR(ディジタルアクセス/ディジタルリーチ)を利用して接続している。WANだけでなくLANもすべて2重化し,障害対策を重視した。


※本記事は日経コミュニケーション2002年8月5日号からの抜粋です。 そのため本文は冒頭の部分のみ,図や表は一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。全文は同号をご覧下さい。そのためにはバックナンバーとして同号だけご購入いただくか,日経コミュニケーションの定期購読をご利用ください。