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社内はIP-VPN,代理店向けに広域イーサを利用
広域イーサネットは事業者の網構成を使って2重化
IP-VPNは拠点に応じて3種類の冗長化方法を採用


ニッセイ同和損害保険は2002年12月末,全社ネットワーク「DISHネットワーク」をIP-VPNと広域イーサネットで再構築した。既存の機器を流用することで初期費用を抑えながらも,二つのサービスを併用して高速化と高い信頼性を確保した。
(加藤 慶信)

 ニッセイ同和損害保険は,2002年から2003年にかけて代理店向けシステム「WIND」と営業所向けシステム「PHOENIXC’S」(フェニックスシーズ)を相次いで立ち上げた。加えてネットワーク・インフラ「DISHネットワーク」をIP-VPNと広域イーサネットで再構築。これらによって24時間365日の稼働を実現した。

 ニッセイ同和損保は2001年4月,同和火災海上保険とニッセイ損害保険が合併して誕生した会社。合併当時の保険料収入は,2社合わせて約2900億円。合併後の新会社では,保険料収入の成長率が年2けたというシナリオを描き,5年後の保険料収入として5000億円の達成を経営目標に掲げた。

 その経営目標達成を担うのが二つの新システムと新ネットワーク。24時間365日の稼働によって保険加入者や代理店への応答を迅速にし,顧客満足度の向上を狙う。従来40~50日かかっていた事故受け付けから支払いまでの期間を,1週間から10日ほど短縮できる見込みだ。

ニッセイ同和損害保険
情報システム部
IT企画室
課長 川嶋佳紀氏

 新ネットワークの構築費用は2億5000万円だった。年間の通信費用は,「IP-VPNとATM専用線を使う社内向けネットでは,総帯域が3倍に増えて通信費用はほぼ同額」(情報システム部IT企画室の川嶋佳紀課長:写真)と言う。代理店向けの広域イーサネットを含めた場合,日立製作所が担うシステムとネットワークのアウトソーシング費用も合わせて年間5億円になる。

システムごとにセンターが分散へ

 以前のシステムおよびネットワークは,旧同和火災のものを使っていた。システムは,兵庫県西宮市の事務センターに設置したホスト・コンピュータが中心。ネットワークは,信頼性と高速接続が必要な大規模拠点をATM専用線で,営業所などをフレーム・リレーで,事務センターとつないでいた。ホストを使えるのは平日9時~20時だけだった。

 新システムは,ホストと連携して動くアプリケーション・サーバーで構築した。さらに,開発元のインテグレータにサーバーの運用を委託したため,損害調査を中心とする社内の営業所向けシステムと,保険の契約を中心とする代理店向けシステムで,センター拠点が分散する構成に変わった。

 ホストを設置する事務センターとサーバーを設置するデータ・センター間には,高速な回線が不可欠だった。加えて,24時間365日利用するためには,回線障害が発生しても自動的に復旧できるネットワークが必要になった。

既存機器の流用が不可欠の条件
写真1 富士通のATM(非同期転送モード)交換機「EW6650AWN」

 ニッセイ同和損保は,合併と同時に新ネットワークの仕様を検討し始めた。しかし,検討には考慮しなければならない条件があった。旧ネットワークの構築時に購入したATM交換機(写真1)やルーターなどのネットワーク機器の減価償却が済んでいないことだ。実は,ATM専用線とフレーム・リレーで構築した旧ネットワークが稼働したのは,合併と同じタイミング。機器の償却も,合併と同時に始まったばかりだった。

 こうした事情から,できる限り既存の機器を流用する必要があった。そこで,新システムの導入で拠点のトラフィックが増加するかを調査した。その結果,「営業所など200拠点では,既存の回線帯域でも十分と分かった」(川嶋課長)。既存の機器をそのまま使えるめどが立ったことで,流用できる機器はそのまま使い,必要な部分だけ高速化する方針で検討を始めた。

応答性優先の代理店には広域イーサ

 検討の結果,新ネットワークはシステムに応じてIP-VPNと広域イーサネットを使い分ける構成とした()。 「当初は,単純にフレーム・リレーをIP-VPNに置き換えるだけのイメージだった」(IP-VPN側のネットワーク構築を担当したメモレックス・テレックスの川上力ソリューション営業部第2グループリーダー)。当時の広域イーサネットは,128kや192kビット/秒といった低速品目を提供していなかった。しかも,ユーザー・網インタフェースはイーサネットになる。シリアル・インタフェースを備えた既存の機器を流用する条件では,広域イーサネットは選択の対象外だった。

 ところが,代理店向けオンライン・システムWINDの開発現場から,「顧客満足度の向上を狙って導入する以上,代理店向けのレスポンスを社内業務よりも優先すべきとの声が急浮上してきた」(川嶋課長)。WINDを使うカスタマ・サポートのオペレータや代理店は,顧客と直接接しながらシステムを使うからだ。

 「広域イーサネットならLANと同じ帯域を低料金で確保できるため,急きょ導入を検討することになった」(川嶋課長)。最終的に,WINDのサーバーを設置したデータ・センターや代理店と接続するゲートウエイなど5拠点については,広域イーサネットでつないだ。広域イーサネット部分のネットワーク構築は,WINDのシステム構築を手掛けた日立製作所が担当。ルーターも日立製作所の製品を購入し,システムとネットワークの両方を一括してアウトソーシングした。

図 ニッセイ同和損害保険の全社ネットワークの構成
IP-VPNとATM専用線を組み合わせた社内向けネットワークと,広域イーサネットの代理店向けネットワークの二つに分かれる。それぞれ,利用するアプリケーションに応じて使い分けている。新システムは,自動車損害サービス・システム「PHOENIXC’S」を横浜のデータ・センター,代理店オンライン・システム「WIND」を大阪のデータ・センターに設置している。


※本記事は日経コミュニケーション2002年5月12日号からの抜粋です。 そのため本文は冒頭の部分のみ,図や表は一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。全文は同号をご覧下さい。そのためにはバックナンバーとして同号だけご購入いただくか,日経コミュニケーションの定期購読をご利用ください。