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【当初の計画】
現在の評価
ADSLで広帯域化とコスト削減を両立

1メガ以上の実効速度に満足
安定性の確保

監視委託などを積極活用して及第点に
どこからでも社内ネットに接続

認証用端末とパソコンの相性に悩む

内田洋行は中小規模拠点の収容にIP-VPNを,リモート・アクセス用途にインターネットVPNの運用代行サービスを利用している。導入後のトラブルは通信事業者に協力を求めて一つずつ解消。社内ネットワークの満足度を高めてきた。

(島津 忠承)

 内田洋行は2003年4月~6月にかけて,中小規模営業店ネットワークを刷新した。主にADSL(asymmetric digital subscriber line)をアクセス回線として使い,IP-VPNで拠点間を結んだ。

 同年8月末にはインターネットVPNの利用も開始。社員が外出先や自宅などから社内ネットワークにリモート・アクセスできる環境を整えた。

大拠点との速度差を低料金で埋めたい

 内田洋行は中小規模拠点のネットワークの刷新に当たり,主に三つの目標を掲げた。(1)各拠点を結ぶWANの帯域拡大とコスト削減の両立,(2)主要拠点の回線の安定性,(3)小規模拠点とモバイル・ユーザー向けにどこからでも安全に社内ネットワークに接続できる環境を整える――である。

 (1)は,従来のWANが帯域不足に悩まされていたため。NTTPCコミュニケーションズのIP専用のフレーム・リレー・サービス「EBN」を利用していた。各拠点の回線速度は64k~192kビット/秒どまり。グループウエアの利用や,拠点間でのファイルのやり取りでトラフィックが増加し,帯域不足が深刻になっていた。

 メガビット/秒クラスのATM専用線で結んでいる東京本社や大阪などの大規模拠点と速度差が大きかったことも,レスポンス悪化の問題に拍車をかけていた。大規模拠点で作成したアプリケーションはメガビット/秒クラスの回線を前提にしたものが多く,中小規模拠点では実用に耐えなかった。

 とはいえ,帯域の増強に伴って通信料金が跳ね上がることは許されない。そこで,広帯域ながら通信料金が安価なADSLをアクセス回線として利用できるIP-VPNサービスへの切り替えを決断。スループットの向上と通信コスト抑制の両立を狙った。

外部からの接続方法は“何でもあり”

 ADSLを採用することは決めたものの,回線断などの不安はぬぐえなかった。そこで2番目の目標として安定性の確保を掲げた。仙台市,名古屋市などの主要中小規模拠点には,基幹業務用の汎用コンピュータと通信する端末がある。これらの拠点は常に通信できる状態を確保しておく必要がある。

 第3の目標に掲げた「どこからでも社内ネットに接続できる環境」の整備は,EBNのリモート・アクセス環境に不満があったため。同サービスではDDIポケットのAir H″を利用できないなどの制限があった。「利用形態は“何でもあり”にしないと,社員に受け入れられないと思って設計した」(システム子会社であるウチダインフォメーションテクノロジーの山口淳ネットワーク・サービス部長)。

バックアップ重視でIP-VPNを選択

 狙いを踏まえ,IP-VPNサービスにはNTTPCコミュニケーションズの「SuperEBN-Multi IP-VPN」を選んだ()。同サービスは企業向けのアクセス回線を利用する場合,追加料金なしでISDNをバックアップ回線に利用できる。コストをかけずにADSLの不安定さを補える点を評価した。

 アクセス回線のADSLは,アッカ・ネットワークスの企業向けメニューを選択。「個人向けでは安定性を十分に確保できないと判断したため」(ウチダインフォメーションテクノロジーの石山聡ネットワーク・サービス課長)。

 ただし,アッカのサービス提供地域は都市部が中心。内田洋行の拠点すべてを網羅してはいなかった。残った拠点はNTT東西地域会社の「フレッツ・ADSL」を採用。同じく東西NTTの簡易型IP-VPN サービス「フレッツ・オフィス」を経由させてSuperEBNと接続することになった。なりすましを防ぐため,これらの拠点にはIPsecルーターを導入してセキュリティを確保してある。

 さらに,通信事業者に障害監視を委託。回線障害が発生した際に即応できる体制を整えた。

図 内田洋行の営業所ネットワーク ISDNによるバックアップが標準で利用できる点を評価して,NTTPCコミュニケーションズのIP-VPNサービス「SuperEBN-Multi IP-VPN」を採用した。アクセス回線はADSLが中心。リモート・アクセス用にNTT東日本のマネージド・インターネットVPNサービス「Ephelio VPN」を利用している。


※本記事は日経コミュニケーション2004年5月24日号からの抜粋です。 そのため本文は冒頭の部分のみ,図や表は一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。