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 インターネットのドメイン名の所有権をめぐる企業間の紛争で,新たな解決案が提示される。日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が10月に採用した「紛争処理方針」の制度に基づく初の移転申し立ての裁定結果が,年内にも出る見通しだ。

 移転が求められているのは,愛知県のソフトウエア開発企業であるサイバー・ネット・コミュニケーションズ(サイバー・ネット)が所有しているドメイン名「axis.co.jp」。12月11日時点では係争を進めている段階のため,移転を申し立てた企業名は明らかにされていない。だが,申し立てを受けたサイバー・ネット側は,所用権を放棄する意向を明らかにしている。

 axis.co.jpは,サイバー・ネットが2000年4月に買収した同じ愛知県の企業であるアクシスが登録していたもの。買収によって,サイバー・ネットが所有権を持つ形になった。ところが,現在のjpドメイン名登録規則では,「co.jp」ドメイン名は1企業につき1個までしか登録できない規則がある。企業の買収などで複数のドメイン名を所有することになった場合,買収後6カ月以内にいずれかの登録を削除し,一本化することなっている。サイバー・ネットでは「諸事情で,この作業ができなかった。不当な転売などを目的に取得したわけではない」(サイバー・ネット)と経緯を説明する。

 axis.co.jpの所有権移転の申し立ては,JPNICが認定する国内唯一のドメイン名紛争仲裁機関である「工業所有権仲裁センター」に11月14日に持ち込まれたもの。国内の仲裁機関に持ち込まれた移転申し立ての事例としては第1号にあたる。現在は,同センターの仲裁人がサイバー・ネットと申し立て側企業の間に立って裁定を進めており,年内にも結果が出る見通し。ただ「axis」という文字列は,多くの企業名や商品名などに使われており,ある1企業に所有権を認めるのが適当と言えるかどうかは微妙。仲裁の結果,移転を勧告するか,使用権の破棄だけを勧告するかは定かではない。

 ドメイン名紛争の解決には,裁判で争う事を選ぶ企業もある。12月6日には,信販会社のジャックスが「jaccs.co.jp」を登録した日本海パクトを訴えた民事訴訟で,被告側にドメイン名の使用差し止めを命ずる初の判決が出た。ただし,被告側が即日控訴したことを受けて,JPNICでは被告の登録をまだ削除していない。今回利用されている紛争処理方針は,裁判によってかかる費用と時間を節約するために新設された制度。だが,この制度にもとづく申し立ては現時点では,「axis.co.jp」とNTT-Xが破棄を申し立てている「goo.co.jp」の2件だけである。

(滝沢 泰盛=日経コミュニケーション)