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 1月6日,中央省庁再編で現行の1府22省庁を整理統合した1府12省庁体制がスタートする。森内閣が掲げる「IT(情報技術)国家戦略」の要(かなめ)は通信。その通信事業の規制当局である郵政省は自治省と総務庁と統合し,巨大官庁「総務省」となる。

 郵政省の電気通信局,放送行政局,通信政策局のいわゆる「テレコム3局」は,総務省においては2局に集約される。具体的には,通信事業を規制監督してきた電気通信局は「総合通信基盤局」に名称を変更。放送行政を担っていた放送行政局と,通信事業の振興や高度情報社会のビジョン作りなどを担当してきた通信政策局は,「情報通信政策局」に統合される。

 新体制は,IT分野の最大の懸案であるNTT問題にどう取り組むのか──。郵政省をはじめ,総理府から総務省の外局に移る公正取引委員会,さらには経済産業省に名称を変更する通産省も活発に動き出した。

 郵政省の電気通信審議会(郵政相の諮問機関)は再編に先立つ2000年12月,新たな競争政策を答申し,総務省が目指す通信行政の方向性を打ち出した。この答申を基に,2001年中に電気通信事業法を抜本的に改正する予定である。キーワードは「競争促進」。「公共性」を重視した現行の電気通信事業法(事業法)を根本から見直し,「競争促進」重視の行政機関に生まれ変わろうとしている。

 法改正の柱となるのが,NTTグループに対するドミナント規制の導入である。反競争行為の恐れがある独占的な事業者に対して,他社よりも厳しい規制(ドミナント規制)を課す予定だ。郵政省は独占的事業者として,NTT東西地域会社,NTTコミュニケーションズ,NTTドコモの4社を想定している。

 また“市場の番人”である公取委は,水面下で通信市場における独占禁止法の運用ガイドラインの作成を開始した。独占禁止法を違反する通信事業者として想定するのは,もちろんNTTグループ企業である。

 ただ,公取委内では総務省の外局となる今回の再編への不満もくすぶる。ある幹部は,「総務省と利害が対立したらどうするのか。例えば,郵政省が発注する郵便物自動区分機の談合疑惑調査がよい例だ」と懸念する。「通信分野でも,例えば通信事業者に対する審査を,総務省が快く思わないかもしれない。内閣府(現・総理府)の外局の方が望ましかった」(公取委幹部)と言う。

 一方,通産省は,「2001年1月中に,総務省の通信政策に対して大臣名で注文を出す予定だ」(機械情報産業局)と語る。府省同士が意見を述べあう新制度「政策調整制度」を活用する考えである。NTTグループに対する規制強化などを提言する模様だ。

 こうした各行政機関の活発な動きの背景には,新体制における存在意義を高めるための意図がないとも限らない。通信分野での権限拡大や発言力の強化が目的であれば,NTTグループに対する過剰規制に陥る危険性もある。通信ユーザーの利益を第一に,「サービスの多様化と料金の低下」につながる体制を確立することが省庁再編後の急務である。

(吉野 次郎=日経コミュニケーション)