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 米シスコ・システムズが,同社のルーター制御用OS「IOS」(Cisco internetworking operaing system)の機能を大幅に強化したことが明らかになった。強化したのは,IPパケットにラベルを付けて通信相手を特定するMPLS(multiprotocol label switching)を活用したIP-VPN(仮想閉域網)のための機能。「通信事業者が機能を取り込むことで,IP-VPNの使い勝手が向上する」(シスコシステムズの木下剛サービスプロバイダーマーケティング部長)という。

 主な強化点は(1)パケットに優先度を付与して送信時の順番を制御する技術LLQ(low latency queuing)を,MPLSを利用する環境にも対応させた,(2)IP-VPNで一般的に利用するルーティング・プロトコルのBGP-4(border gateway protocol version 4)でトラフィックの負荷分散を可能にした,(3)大規模ネットワーク向けのルーティング・プロトコルであるOSPF(open shortest path first)を部分的にサポートした――の3点。

 (1)は,重要なパケットをほかのトラフィックよりも必ず優先させられるようにした機能。例えば,音声パケットを最優先に設定することで,VoIP(voice over IP)による内線網の構築が容易になる。今まではLLQよりも単純なWFQ(weighted fair queuing)しか利用できなかった。

 (2)は,アクセス回線を2重化する際の通信コストの増加を抑えられる機能。アクセス回線を2重化するには同じ太さの回線を2回線契約する必要があり,コストがかさむが,2回線にトラフィックの負荷を分散できるれば必要な帯域が半分で済むためだ。

 (3)の強化は,ユーザーのWANルーターとIP-VPN側の網端ルーターとの間をOSPFで運用できるようにしたもの。ただし,IP-VPNサービスの網内はBGP-4でルーティングするため,ユーザーの拠点間をまたいだOSPFの運用はできない。一般的にユーザーはOSPFを拠点間で運用するので,今回の強化は大きなメリットとは言いにくい。

 これらの機能強化がIP-VPNを提供する通信事業者各社のサービス・メニューに実際に盛り込まれるにはもう少し時間がかかりそうだ。例えばKDDIの浜田徹也NW営業本部サービス企画部データグループ課長は「積極的に取り込んでいく方針だが,サービス化の時期は未定」としている。

(島津 忠承=日経コミュニケーション)