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 ソフトバンク子会社のBBテクノロジーとヤフーは6月19日,格安で高速のADSL(asymmetric digital subscriber line)インターネット接続サービスを開始すると発表した。最大速度は8Mビット/秒で,月額料金は2467円から。現状のADSLインターネット料金は最大1.5Mビット/秒で月額5000~6000円程度であるため,より高速な回線を半額程度で利用できる計算になる。

 新サービスの名称は,「Yahoo! BB」。6月20日から申し込み受付を開始して準備が整い次第,試験サービスを開始。8月から商用サービスに移行する計画である。BBテクノロジー社長を兼任する孫正義ソフトバンク社長は,「提供エリアは6月末までに東京23区の一部,7月末までに大阪市や名古屋市などでも開始できるようにしたい。年内には人口カバー率で7割まで拡大したい」と語った(写真)。

 月額料金は,ADSL回線料金が990円,インターネット接続料金が1290円。このほか,NTT地域会社に支払う銅線利用料が必要で,電話と多重する場合で月額187円,電話と多重しない場合で月額2062円かかる。ADSLモデムとスプリッタは,購入するかレンタルするか選べる。ADSLモデム価格は2万2800円,スプリッタ価格は1800円。レンタルする場合は,ADSLモデム料金が月額500円,スプリッタ料金が月額50円かかる。最も安いのは,電話と多重してユーザーがADSLモデムとスプリッタを購入する場合で,月額料金は2467円である。

 Yahoo! BBの最大通信速度は,下り(NTT局からユーザー宅方向)8Mビット/秒,上りが900kビット/秒である。「ソフトバンク・グループには,大容量バックボーンを持つアジア・グローバル・クロッシングなどがあり,高速なサービスを提供できる」(孫社長)と胸を張る。ADSL回線には,「G.992.1」(旧称G.dmt)の北米標準である「Annex A」をベースにした製品を活用する。

 Yahoo! BBのサービス内容は,既存のADSLインターネットに比べてかなり魅力的に見える。料金は半額だし,最大速度は5倍以上であるからだ。しかし,Yahoo! BBの計画には不確定な要素も多い。例えば,最大8Mビット/秒という通信速度。ADSLは,通信距離が長くなるほど通信速度が低下する技術。現状の1.5Mビット/秒のADSLサービスなら多くのユーザーに提供できるが,6Mビット/秒や8Mビット/秒で通信できるユーザーは一部に限られそうだ。月額2500円を切る低料金で本当に採算が取れるかも不透明と言わざるを得ない。低料金で採算を取るには,多くのユーザーを獲得して効率化する必要がある。「200万~300万契約を獲得できれば,事業になると思う」(孫社長)と言うが,ADSL機器をNTT局に設置したり,ユーザーを開通させるまでには時間がかかる。今後のYahoo! BBのサービス展開に注目する必要がある。

 なおBBテクノロジーは,2000年5月にソフトバンクが設立したADSLサービス企画会社「エックステージ」が社名を変更した企業である。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)



◎IT Pro注)
NTTが1998年に実施したADSLフィールド実験で得られた伝送速度と加入者線の線路長との関係(1998年12月17日にNTTが公開した資料より)
 ADSLで得られる速度は,電話局からの距離や回線の状態に依存する。グラフは,旧BizITの「ADSLサイト」に掲載したもの(記事へ,内容としては隔世の感ですが...)。メタル回線の長さと速度の関係を調べた結果である。ADSLの方式はG.dmt Annex A相当であり,今回ソフトバンクが採用を決めた方式と同じである。回線の条件にもよるが,概ね2km以内であれば,アクセス部分では4Mビット/秒以上が期待できそうだと読める。ただし,近くにISDN回線がある場合には,日本仕様のAnnex Cよりも干渉に弱いため,速度はさらに低下する可能性がある。もちろん,トータルのスループットは,中継回線の容量などにも左右される。参考までに掲載する。