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 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)が,大規模なMPLS(multiprotocol label switching)バックボーンの構築を計画していることが明らかになった。すでに6月下旬からMPLSルーターの検証を始めており,早ければ7月からMPLSバックボーンの構築に着手する。

 NTTコムは現在,企業向けのIP-VPNサービス「Arcstar IP-VPN」のインフラとして,MPLS網を運用している。しかし,IP-VPNサービスだけではなく,インターネット接続サービス「OCN」やIP中継電話サービス,広域イーサネット・サービス「eVLAN」など複数のサービスのバックボーンとして全国規模のMPLS網を再構築する。

 MPLSは,コネクションレス型のIPネットワークにコネクション制御の仕組みを取り入れる技術。IPネットワークの下位層に,仮想的な伝送路「LSP」(label switch path)を設け,IPトラフィックの経路制御などを可能にする。

 通信事業者がMPLS網を導入するのは,一般に二つの狙いがある。一つは,IP-VPNサービスを提供するため。企業ユーザーの拠点をグループ化して閉域通信網を設定する方法として,BGP(border gateway protocol)と呼ぶプルトコルとLSPを組み合わせた方法を使う。この方法は,IETF(internet engineering task force)が「RFC2547-bis」で規定している。

 もう一つは,通信事業者のネットワーク運用担当者が,トラフィック・エンジニアリングを実施するため。トラフィック・エンジニアリングとは,IPトラフィックを複数の異なる経路に明示的に分けて,耐障害性や帯域の利用効率を高めること。MPLSを使っていないIP網では,送信先ルーターが同一なら,ルーター同士がルーティング・プロトコルでやり取りして決めた一つの経路に,すべてのトラフィックが流れてしまう。

 NTTコムがMPLSバックボーンを構築するのは,トラフィック・エンジニアリングが目的。複数の通信サービスを同一のIPバックボーンで運営するには,運用者がトラフィックを制御できる仕掛けが事実上不可欠と判断した。

(米田 正明=日経コミュニケーション)