PR
 NTT東日本とNTT(持ち株会社)は10月10日,光ファイバ・ネットワークを活用したホットスポット・サービス「Biportable」(バイポータブル)の試験結果を発表した(写真上)。Biportableの特徴は,「AWA」(advanced wireless access)と呼ぶ新方式を採用したこと。ホットスポット・サービスには,一般的に最大11Mビット/秒の無線LAN方式「IEEE802.11b」が使われるが,「AWAは実測で802.11bの4倍強の伝送帯域を確保できた」(NTT東日本)という。試験は,2001年3月~8月に東京・渋谷を中心とした地域で実施した。

 試験では,NTT東日本ビル内に各種アプリケーション・サーバーなどを含む専用システムを構築。PCカード型の無線機を差し込んだノート・パソコンや,無線機を内蔵したPDA(携帯情報端末)を使って,NTT東日本ビル内の映像コンテンツ・サーバーにアクセスしたり,インターネットに接続したりする仕組みだ。店舗やオフィス,家庭などのホットスポットと専用システムとは,光ファイバを使って100Mビット/秒のイーサネット方式で接続。光ファイバは,NTTが開発したAWA方式の無線基地局装置で終端した。

 試験サービスで提供された端末は,PCカード型,無線機内蔵型PDAともに200台ずつ(写真下の左と中央)。サービスが利用可能な場所はいずれも屋内で,その内訳は商用ビル16カ所,オフィス4カ所,慶應義塾大学,家庭11カ所である。試験モニターを対象としたアンケート結果によると,ノート・パソコン利用者の約8割,PDA利用者の約9割が,自宅やオフィスだけでなく外出先でも利用したいと答えている。

 AWAは,5.2GHz帯の無線周波数を使う無線通信方式の電波産業会(ARIB)規格「STD-70」に準拠する。詳細仕様はMMAC(マルチメディア移動アクセス推進協議会)が標準化したため,MMACでの規格名をとって「HiSWANa」(ハイスワン・エー)とも呼ばれる。規格上の最大伝送帯域は54Mビット/秒である。ただし,今回の試験サービスでは,ノート・パソコンやPDAのデータ処理能力を考慮し,1端末あたりの最大データ通信速度は2Mビット/秒に抑えた。

 NTT東日本は来春をめどに,AWA対応のPCカード型端末と無線基地局装置を製品化する。製品化にあたり,PCカード型端末は消費電力を減らして小型化する(写真下の右)。価格は,「802.11b対応製品よりもスループットが速いうえ,セキュリティが強固だが,2倍以上の値段にはできない」(NTT東日本の小林忠男・企画部バイポータブルプロジェクト担当部長)と,802.11b対応のPCカードや基地局装置より若干割高になる見込みだ。802.11b対応のPCカードは1万円弱,基地局装置は3~4万円である。

 発売当初は,高速な無線LAN製品として売り込む考えで,AWAを活用したホットスポット・サービスを事業化するかどうかはまだ検討段階にある。このため,具体的な提供形態は決まっていないが,例えば単独サービスとしてだけでなく,Bフレッツのオプション・サービスとして提供することなどを検討中だ。
(杉山 泰一=日経コミュニケーション)