PR

 NTTドコモと東京放送(TBS)は11月1日,携帯電話での視聴を前提にした地上ディジタル放送の実験を東京都内で公開した。3~4年後には,移動中でも画面が乱れにくいテレビ番組が携帯電話で見られるようになりそうだ。

 実験の内容は,移動受信を想定した携帯電話向けの映像ストリームと家庭での視聴を前提にしたHDTV(高精細度テレビ)映像のストリーム・データを,一つの放送波の中で同時に送るというもの。それぞれの映像ストリームは,変調方式など伝送方法を変えて送った。2社はすでに同様の実験デモを過去に実施しているが,今回はすべての設備をリアルタイムで稼働させる必要がある生放送で実施し,技術が実用レベルにあることをアピールした。

 実験は,実験会場にあるスタジオ設備で収録した生放送番組をいったん東京タワーに送り,東京タワーから送出された放送波を同じ実験会場で受信して番組を再生するという手順で実施した。移動中の受信実験は行わなかったが,「今回採用した伝送方法ならば,一般道を走行している車中でも番組を受信できる」(NTTドコモ)という。

 携帯電話向けサービスでは,映像圧縮方式にMPEG-4を使用した。MPEG-4の処理時間と,映像再生の安定化のためにメモリ・バッファを大きく取ったことで,映像の受信時には3~4秒程度の遅延が生じた。家庭向けサービスより遅延は大きいが,「放送番組を受信する用途ならば大きな問題にはならない」(TBS)という。

 携帯電話向けサービスを受けるための受信機も公開した。携帯電話機に外付けするもので,大きさはショルダー・バッグ程度とまだ大きく,小型化が今後の課題になりそうだ。ただし2003~2004年の地上ディジタル放送の導入初期段階では,車載端末には内蔵できる見通しである。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)